【芦生】芦生研究林の防鹿ネット内外の継続植生調査 2016年8月
  2016年08月06日(土) 京都大学・芦生研究林


今春4月の調査に続いて、今日は「知ろう、守ろう、芦生の森」の夏の植生継続調査日。
初回から参加して、もう6年目の夏で僕は14回目の参加、MICKEYは11回目である。

今年はこの夏までに、4月のネット上げに1度、4月のワチガイソウの調査に1度、
5月の鹿の死体数調査に1度、計3回研究林に来た。

朝6時半過ぎに家を出て、吉野屋でねばねば系の朝食を食べて芦生へと向かった。
須後での集合は10時。園部で26℃、美山に入ると29℃になった。
今日の予報は38℃。晴天なのでまだまだ暑くなるだろう。 
   
   
かやぶきの里に8時に着いたので、いつものように休憩タイム。かやぶきを葺き替え始め
ている家が一軒ある。「今日の作業は暑いだろうな」。

かやぶきの里の集落の入り口ではアユの友釣り用のアユを販売中だった。
「美山あゆ祭り」のノボリが道沿いに沢山立っていて、由良川にはアユ釣り師が沢山いた。

芦生ロードパークには親子連れの車が一台。ワンコと共に川で水遊びしていた。
ロードパークからすぐ先の斜面では植林の伐採が始まっていた。

夏はイワヒメワラビ以外の木本類や草本類の種類がどのように分布して生えているかや、
その被覆度も調査するのだが、その繁茂度は春には想像できないくらいにプロット内には
ボウボウにいろいろな植物が風媒や鳥媒等で芽生えて育っており、炎天下での調査はなか
なか毎年厳しいのだか、はたして今年の状態はいかに。
今年春の状態とは一変する。

何よりも毎年生えて育っているものが変化しているので、小さな実生の葉を見ただけで
判断したり、花がまだ咲いていないものもあり、幅広い植物の知識が必要となる。
今回はFIGO(森林インストラクター兵庫)からも須磨から2名、池田から1名の計3人が
参加して下さるので心強い。須磨からのお二人は初参加。池田からのNさんは今回で
5回目の参加で、なんと相棒MICKEYと中学校の同級生でもあるのだ。世間は狭い。

過去5年間に生えてきた草木の写真はリスト化して持っているものの、なにせ毎年新しい
発見や生え方などの様子が変わるために、僕もMICKEYも何年経っても小さな芽生えで
同定する知識が乏しくて夏の調査は特に苦戦している。調査区や環境がほんの少し変わる
だけで、葉の形や色や厚さも微妙に変化するからなのだ・・・。
   
   
   
須後に着くとFさんをMICKEYが素早く見つけて「おはようございます」。
Fさんの車が新しくなっていた。

研究林のKさんの顔が見えた。「今日もよろしくお願いします」
次に高島市のTさんが到着「お久しぶりです」。

園部からのバスが到着し、FIGOのNさん、Oさんも到着。Yさんは自家用車で到着。

受付をして班分けを見ると、僕は1班。OさんNさんも同じ班だ。そして女性Iさん。
MICKEYは2班でふぉれすとさんやYさんと同じ班だ。Fさんは3班、Tさんは4班。

T(N)先生が法学部と経済学部の学生さんを各1名同行された。彼らは3班と4班に。

Mさんから調査に関する簡単な説明。10時過ぎに須後の事務所前からバスに乗り、
地蔵峠へ。Mさんから「先頭で行って下さい」と言われ、荷物を持って枕谷の調査地
へと向かう。
   
   
   
調査地手前のガマズミの実も今や赤く沢山ついている。
夏は、イワヒメワラビが繁茂しているだけでなくて、サワウツギやアシウアザミがネットの
高さより大きくなって繁茂しているのを見て!!「ひえ~っ」と声を上げてしまった。
その声をここで待っていて下さったT(A)先生が聞いて「ニヤリ」と。

今年の4月のネット上げの時の姿とは別世界なのだ。夏の調査は毎年驚きの連続だ。



T(A)先生からミニ講座。(調査終了後のミニ講座もここにまとめて記載)
★シカの捕獲について
  平成20年=9頭、平成21年=4頭、22年=7頭、23年=5頭、24年=8頭
  25年から6月にも捕獲を追加。25年=22頭、26年=32頭、27年=12頭。
  28年は今日までで10頭。
今年は雪が少なかったので鹿がそれほど死なないはずなのに上谷に4頭の死体があった。

★1班のところはタニウツギが繁茂。3~4班のところはミズメ。コバノイシカグマ。
  伊吹山で、脅威の早さで繁殖し本来の植物を脅かしていることをテレビでしていたが、
  そのアカソとフジテンニンソウの事もお話しして下さった。伊吹山西コースの斜面の
  保護地区にも先生は関わっていらっしゃるとのこと。

★オオバアサガラ・・・いままで見向きもしなかった鹿が、葉は食べないのだが皮剥が
 はじまったとのこと。(葉はサポニンの関係か?)
★テツカエデ・・・これもいままで鹿は食べなかったが、食べ始めた。

★鹿の移動・・・・発信器を付けたメス鹿/小浜まで移動してまたこの地に帰ってきた。
   
   
   
   
調査は1班をさらに2つに分けて3~4人のチームになるのだが、今年は参加者が少ない
ので手分けできない。担当プロットを調査開始。イワヒメワラビをかき分け踏みつけ通路
を作るだけでズボンはいつものようにねばねば・・・。

まずはいつものようにブナの生存本数の確認と、枯死を調べる。そしてそこに生えている
草本類の範囲を破線で記して種類を記す。木本は実線で図示し、本数と種類を記録する。
「これはタニウツギ、これはツボスミレ、これはスゲ、これはハシカグサ、これはアカシ
デですね」等々と、1班はサワウツギジャングルとアシウアザミジャングル状態。
アブも沢山寄ってきて大変。Oさんが蚊取り線香をつけて下さった。
「これはなんだろう・・・」と確証がつかないときはHさんを呼んで教えて頂いた。

その後、多様性の調査はサブプロットを25に分けて1つは1/25なので0.04として計算する。
パッと広さを見て判断し記録する。今回はNさんに多様性記録の体験をして頂いた。
サワウツギジャングルは被覆度と同様に、かげになってやや涼しいことだけが救いといえ
ば救いだ。

ランチタイムは僕もMICKEYも今回もFさん流にお茶漬けにした。
おかずは朝MICKEYが作って準備してくれた。

今年の夏も、お隣に来て下さったT(N)先生と入林制限や芦生研究林の活用の仕方などを
お話ししながら食べた。この研究林のこれからのことを本当に心配し考えていらっしゃる。
できる協力はしていきたいものだ。
   
   
   
午後は各班の残った調査を終えてから、地蔵峠に戻り、バスで須後へと戻る。

須後の手前の溝に子鹿が休憩しているのをFさんが車中から見つけた。
アンケートを記して15時前に解散。「ではまた」と皆さんとお別れ。

来週11日と12日のFさんの入林植生調査に同行するので、そのエリアを地形図で
Fさんに伺ってから僕らは帰路についた。Fさんは泊まられて明日も植生調査される。

僕とMICKEYはいつものように河鹿荘で汗を流し、かえで御膳と鹿カツを食べようとし
たのだが、流石に夏休み。ファミリーキャンパーでお風呂場は満杯、今日の食事は
18時からだという。「そんな長い時間待っていられないわ」と、ご機嫌斜めのMICKEY。
今回は自販機のコーラを飲んでそのまま帰宅することにした。
気温は32℃。

途中の「得得」で、なかなか腰のある夏限定のうどんセットを食べて帰路についた。
雲行きが怪しくなりパラパラと雨が降ったが、すぐに止んだ。

明日は朝5時半から7時まで猪名川の堤防の草刈りをする。明日も暑いだろうな・・・。
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