【芦生】芦生研究林の防鹿ネット内外の継続植生調査 2015年8月
2015年08月08日(土) 京都大学・芦生研究林
今年の春の調査に続いて、今日は「知ろう、守ろう、芦生の森」の夏の植生継続調査日。 初回から参加して、もう5年目になる。 朝6時過ぎに家を出て、ガソリンを入れて芦生へと向かった。須後での集合は10時。 日吉町あたりではすごく曇っていて雨になるかと思ったが、美山に入ると晴天。23℃。 |
かやぶきの里に8時に着いたので、いつものように静かな集落を1時間ほどのんびりと 散歩しつつ、去年までの植生写真集をパラパラと見てMICKEYとしばしの時間復習した。 かやぶきの里の稲穂も大きく育っている。 由良川では鮎釣りの釣り人が沢山いた。 芦生ロードパークの川壁面の工事は完了していた。 夏はイワヒメワラビ以外の木本類や草本類の種類がどのように分布して生えているかや、 その被覆度も調査するのだが、その繁茂度は春には想像できないくらいにプロット内には ボウボウにいろいろな植物が風媒や鳥媒等で芽生えて育っており、炎天下での調査はなか なか毎年厳しい。 何よりも毎年生えて育っているものが変化しているので、小さな実生の葉を見ただけで 判断したり、花がまだ咲いていないものもあり、幅広い植物の知識が必要となる。 過去5年間に生えてきた草木の写真はリスト化して持っているものの、なにせ毎年新しい 発見や生え方などの様子が変わるために、僕もMICKEYも何年経っても小さな芽生えで 同定する知識が乏しくて夏の調査は特に苦戦している。 今回は知識豊富な森林インストラクター兵庫会(FIGO)の研修担当のMさんに相談し、 FIGOの皆さんにも声をかけることにした。(8月研修の月担当が僕でもあった事もある) 遠いにもかかわらず、篠山、豊岡、宝塚、神戸、加古川から5名が初参加して下さった。 参加者26名の4つの班分けを見ると、森林インストラクター大阪会(FIO)から4名、 京都会からも1名の、お顔もお名前もよく知る方達のお名前があり、いろいろとプロット内に 生えてきている植物を同定するには知識も豊富な心強い方達である。 僕は1班、MICKEYは2班になった。 |
10時過ぎに須後の事務所前からバスに乗り、地蔵峠へ。そこでFさんやT先生と合流。 調査地へ向かうも、先頭のMさんがどうも左側に行き過ぎているような・・・。 「そっちじゃないですよ~」とT先生とともにMさんに声をかけて軌道修正。 「うわ~イワヒメワラビが繁茂している。今年はウバユリまで咲いているぞ。」と僕。 今年は残雪期の3月にもMICKEYとここを見に来ているし、4月のこの調査時の姿も良く 覚えている。調査地に向かう夏の柵の外の様子の違い(イワヒメワラビが群生して腰高 くらいに成長し、繁茂している)には毎年毎年驚かされる。イワヒメワラビばかりが目に ついて、他の種がほとんど目に付かない。この地ではイワヒメワラビの阻害力は強い。 |
しかし、以前Fさんと歩いた芦生の他のイワヒメワラビの群生地では、その下にもある 程度他種が残っていたし、イワヒメワラビで覆うと鹿の採食から守ることが出来るのでは ないかと、Fさんと少し実験したこともある。環境条件や、種子が落ちるタイミング等でも 違いがあるのだろう。調査地手前のガマズミの実も今や赤く沢山ついている。 調査は1班をさらに2つに分けて3~4人のチームになり、各担当プロットを調査する。 熱中症にならないための注意事項の説明を受けた後、開始となった。 |
僕はYさんとSさんと3人で、1班の1担当のネット内の除去区のプロットや、放置区のプロ ット番号内を調査した。担当区画までネット沿いにイワヒメワラビをかき分けて先行すると それだけでイワヒメワラビのねっとりしたものがズボン全体に付いてねばねばした。 まずはいつものようにブナの生存本数の確認と、枯死を調べる。そしてそこに生えている 草本類の範囲を破線で記して種類を記す。木本は実線で図示し、本数と種類を記録する。 「これはタニウツギ、これはツボスミレ、これはスゲ、これはハシカグサ、これはアシボソ ですね」等々とわかる種類もあれば、「これはイワガラミだと思うけど・・・」と確証がつかない ときは南丹局のHさんにお尋ねした。 |
その後、被覆度はサブプロットを25に分けて1つは1/25なので0.04として計算する。 パッと広さを見て判断し記録するのだが暑さで頭が回らない。 ランチタイムは僕もMICKEYも今日はお茶漬けにした。おかずもMICKEYが準備して くれていた。 「暑いときはお茶漬けに限るなぁ」とFさんの受け売りをMICKEYと言い合って笑う。 昼休みには、前研究林長のT先生ともこの調査地の変化についてお話しできて 楽しい時間を過ごせた。 |
各班の調査を終えて、T先生のミニ講座。いままでの調査の経緯や、鹿の状況等を説明し て下さり、この調査もいままでの記録をまとめていく意義についても説明された。 また次回からは、ブナの成長の個体差も顕著になりつつあるので、その個体差記録も開始 してはどうか、とのことであった。恒例のダニに関するミニ講座もして下さった。 先頭で地蔵峠まで引率し、バスで須後へと戻りアンケートを記して15時に解散となった。 山の家駐車場の「協力金箱」に500円を入れて帰路に出発。 |
僕とMICKEYはいつものように河鹿荘で汗を流し、いつものように鹿肉のかえで御膳と 鹿カツを食べた。今日は鹿のイラストがついているTシャツも売店で買った。 河鹿荘の前の川では流石に夏休み。ファミリーキャンパーが沢山いた。32℃。 美山の手作りソーセージの店にも寄って、鹿肉ソーセージやブルーベリージャムも 買ってから帰路についた。 途中でMICKEYの実家からイチジクを取りに来るようにと連絡があり、実家に寄り 大量のイチジクをもらって帰った。 芦生では雨には遭わなかったが、能勢町に入ったら道路がぬれて水たまりもあった。 我が家の近くでも相当降ったようで道がぬれていた。19時帰宅完了。 今日初回参加の方も、また日程の都合が付けば継続参加していただければと思う。 奈良のHさんが何度も芦生に通って作られた、研究林外の林道とトロッコ道の観察 地図が先月完成したとのことでHさんから頂いた。感謝! また活用したい。 |
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