【大台ヶ原】西大台と大蛇嵓

杉の子(松原)さんの冥福を祈って

【行き先】大台ヶ原・西大台と大蛇嵓
【日　時】２００４年１０月１１日（祝・月）
【メンバー】MICKEY、矢問
【コース】 ①経塔石駐車スペース(6:20)－(6:55)開拓分岐－(7:10)展望台－逆峠
　　　　　　　－(7:50)竜口尾根分岐－(8:20)杉の子さん滑落点・ピストン(11:00)
　　　　　　②大台山上駐車場(11:20)－(11:10)シオカラ谷吊橋－(12:10)大蛇嵓
　　　　　　　－牛石ケ原－尾鷲辻－(13:10)大台山上駐車場

９８年８月に大台ヶ原の小処温泉に行くルートで、竜口尾根に迷い込み滑落遭難したと
推測され、囲炉裏のメンバーやわらじの会の方々、そして山ネットのメンバー等で複数
年捜索し発見に至った「杉の子さん（松原君）」の冥福を祈りに大台ヶ原へ行った。


朝日に照らされた素晴らしい展望	緑と苔の素晴らしい森

前夜０時３０分に大台へ着いた。とても寒い。今年は熊も怖いし、今日は車中泊とした。
早朝は、濃霧で全く何も見えなかったが、５時４０分くらいにスーッと消えて晴天に(^^)v
昨夜の天気予報では「大台ヶ原は晴天」だったし、よかったよかった。

６：２０
駐車スペースを出発。浜松ナンバーの車が２台。素晴らしい展望が見える。
駐車スペース奥の道を右斜めに下っていく。左にワサビ谷を見ながら沢に近づいていく。
前に崩れかかっていたトラバース地点は以前以上に崩れていた。
広い平地になり老木と苔のコントラストが美しい。沢の水は透き通っていて輝いている。
「芦生の感じに似ているね」とMICKEY。「気持ちいいな～」と快調に進む。
以前、捜索の時も感じたが1/25000地形図の波線とは全く違うところに歩行ルートがある。
道標は以前より多くなっている。誰も歩いていない。静かな朝の森だ。鹿が鳴いている。


沢を渡って苔の階段を登る	記憶にある大木	この木を過ぎると竜口尾根

６：５５
開拓分岐。さらに進み、丸太の階段を登りそして下る。
沢があり道が右手に曲がり沢を渡って苔の素晴らしい丸太階段を登る。

７：１０
展望台。昔は展望が良かったのだろう。今はどうか、崖の方まで行ってみたが良くない。
左手に西の滝が見える。看板に逆さ峠まで２０分と書いてある。黒いロープが手すりの
ように張ってあるところが増えている。「霧や雨ならどこも道に見えるね」とMICKEY。
西大台はホントにそんな感じの道で、平地でも水の流れ跡がすべて道に見える。
以前も逆峠のすぐ下をルートは通っているので「逆峠」という道標は見たことがない。
今回も同じく、緯度と経度で「この上だな」とわかったもののルートは下を通っている。


直進すると竜口尾根	右（西）へ行くと小処温泉方面

７：５０
竜口尾根分岐。黒いロープが張ってあり、杉の子さんのように直進して間違う事がない
ようになっていた。道標も古いものの左手に１つ新設されてあり、右へ行けば小処温泉
方面とわかる。この地点の目印にもなっていた倒木の大木は無くなっていた。
直進にはっきりと踏み跡があったのもいまでは消えていた。
僕たちはこのまま南へ直進し竜口尾根に乗り、杉の子さんの滑落地点へと進む。


尾根に乗ったところの大木	西の方の展望も良い尾根

記憶にある大きな木。尾根の上に乗ると踏み跡がずっと南に続いている。
尾根歩きをする人はいまでもいるようだ。
記憶にある鉄ワイヤー、展望の良い地点の倒木、これを過ぎて下ると、杉の子さんの
めがねなどを見つけたザレ場だ。この先のシャクヤクの急な尾根を登り鉄ワイヤーが
見えるとすぐ下りが始まり、杉の子さんの滑落地点と推測されるところだ。ザックやカ
メラ、雨具、靴などが見つかり、ついには変わり果てた杉の子さんを２００１年の７月に
茂木さん達と４人で発見した地点のすぐ５０ｍほど上の痩せ尾根だ・・・・・。
数年前とはいえ、数度捜索時に来て、記憶に焼き付いたルートであり、地点だ。


滑落したと見られるところ	杉の子（松原）さんの冥福を祈った

８：２０
杉の子さん滑落点。茂木さん、小山伏さん、あめのうおさんとこの「杉の子ルンゼ」を４人で
ザイルで下りたときの支点にした左手の木を見たとたん、涙がこみ上げてきた。
※茂木さんは、杉の子ルンゼの上まで杉の子(松原)さんのお母さんを、発見の年の１０月
　　に案内されている。

以前下りた崖の下を見て「杉の子さ～ん(松原君)」と声を出した。下の左のバンドの奥に
杉の子さんは変わり果てた姿で眠っていたのだ。尾根筋の木の根元を綺麗にし、岩を集
めてケルンを作った。ペットボトルを切って水を入れ、葉のある木を差し立てた。
MICKEYが持参したお線香と数珠を用意していたとき、上で「ゴソゴソ」と音。
「く、熊？？」とMICKEYが固まり緊張が走る。男性が２人先の南の上から下りてきた。
「囲炉裏の方ですか？」と声をかけられた。赤名さんのお知り合いらしい。
「僕らもここは危ない地点だなぁと話していたんですよ」とのこと。
南から来たのがまた不思議。どこから来たのだろう・・・・？？？。
※後日、この杉の子ルンゼの尾根で出会ったＮさんからメールをいただいた。
　　Ｉさんとともに僕たちの出発点と同じところから、前日入山し竜口尾根を
　　丸塚山－又剣山と歩かれて、翌日戻り道で僕たちと出くわしたということであった。

僕らは線香に火をつけ、冥福を祈った。そしてしばらくの間、じっと崖下を見つめていた。


このザレ場の下、右手でめがねを見つけた	竜口尾根分岐へ戻り下る

尾根を登り戻り、下ったら先ほどのザレ場。めがねを見つけた地点まで行きかけたが、
なんとなく聖地を汚すような気がして戻ることにした。
こちらの尾根の木の根元にも、ケルンを作って線香と数珠で拝んだ。
「杉の子(松原)さん、安らかに眠ってください。息子達も山ネットでは本当にいつもか
わいがってくれてありがとうございました。」と・・・・・。
竜口尾根分岐に戻るときに右(東)尾根にスーッと入っていき、「こんなところ通ってい
ない」と直ぐに気がつき軌道修正。あとは駐車地点まで戻るだけ。
開拓あたりで、数名のハイカーとすれ違う。西大台は東と違い本当に静かだ。

１１：００
駐車地点に着いた。「またいつか、杉の子さん、来るからね・・・・・」
捜索無線隊の時に大蛇嵓の方から竜口尾根を見ていたので、そちらにも行くことにし、
車で大台山上駐車場へと移動した。

１１：２０
大台山上駐車場。観光バスや自家用車が満杯で、停めるスペースが全くない。
道路に戻り道路沿いのスペースに駐車。ふぅ。すごい人気なんだなぁ。
捜索無線隊の時に行った東回りの楽なルートではなく、下って登る西回りのシオカラ
谷の方からぐるっと一周してみることにした。売店とトイレの間がルート開始地点。
このルートは杉の子さんも平成９年の１０月に歩いているルートなのだ。


シオカラ谷へ。やや紅葉し始めか。	シオカラ谷の吊橋


西方向＝東の滝方向	東方向	大蛇嵓方面への登り開始

１１：４０
シオカラ谷吊橋。吊橋の下付近では多くのハイカーが昼寝をしていた。
そこからの登りはゴロ岩道でなかなかきつかった。風は冷たいけど汗が出た。
かつてMOGUさんが、捜索通信隊をする僕たちに大蛇嵓へ行く時に「シオカラ
経由は下りて登って疲れるから、３人は東回りのルートでいきなさい」とアドバ
イスしてくださった意味が実感としてわかった。ホントに疲れる(^^;)


大蛇嵓と竜口尾根	大蛇嵓	大蛇嵓付近の紅葉

１２：１０
大蛇嵓。鎖で行き止まりだが、捜索の時は無線隊としてKUROさん、ぱんちょさんとツララの
下がる大蛇嵓のてっぺんまで行って、その向こう側で待機してMOGUさんへ無線中継をした。
今見ると、よくあんなところまで行けたと思う。防寒具を来ていても寒かったのを思い出した。
竜口尾根を見つめた。佐野さんたちの捜索隊のヘルメットが双眼鏡で見えたのもここからだ。
※「上の左端の写真で、写真の一番左のピークが杉の子さんの事故のピークです。
　　　そのピークの真ん中に突き上げてるのが杉の子ルンゼです」と茂木さん談。


牛石ケ原	もうすぐ駐車場だ

大蛇嵓から戻ったところの広場で昼食にした。多くの家族連れが弁当タイム。
紅葉は始まりかけといったところか。ここからの駐車場への帰路は捜索の時のルートだが
以前より整備されてコンクリートで固めた道になっている。
西大台とは大違いの誰もが間違わないロープ囲い付きのハイキングコース。
「私は断然、西大台の雰囲気がいいなぁ」とMICKEY。僕も同感だ。

１３：１０
ビジターセンター横に出て、山上駐車場。シオカラ谷ルートとは月とすっぽんの、東回りは
何とも楽なルート。
このすごい数のバスや車が出発しないうちに土産を買って出ることにした。
大台ドライブウェーからの小処温泉への道は封鎖されていたので、ドライブウェーからの
素晴らしい展望を楽しみながら、帰路の中荘温泉で汗を流して帰宅することにした。

杉の子さんの冥福を祈る山行が、晴天のなか出来て本当に良かった。

本日のルート　①左が西大台への本日のルート　②右が大蛇嵓への周遊ルート

この１つ前の記録は「【北摂】能勢・天台山から妙見山」の記録です