【湖北】赤坂山から三国山


低山とはいえ、新雪の楽しさと怖さ、久々のホワイトアウト、両足太股付け根が
攣った時の不安など、2人でいろいろ勉強できた山行となった。

【行き先】 湖北・赤坂山(823.8m)から三国山(876.3m)
【日 付】 2002年2月10日(日)
【コース】 マキノスキー場登山口−粟柄越−赤坂山
      −三国山−黒河峠−白谷−マキノスキー場入り口
【天 候】 曇ったり晴れたり吹雪いたり
【メンバー】矢問&MICKEY

前夜21時に家を出た。湖西の道路の後半で猛吹雪に変わった。
「明朝もこの吹雪なら帰ろう」と決めて、0時にスキー場へのゲート横の
駐車場で仮眠。車は2台のみ。ゲートは7時に開く。北マキノというバス停の
はずが、「マキノ高原」となっている??。

7:00
雪は止んでいる。「よし、行くか」とアイゼン、ワカン、雪スコも持って行く。
車が20台ほど並んでいる。僕らはどうせ白谷方面から戻ってくるので
スキー場には入らずそのまま駐車。ゲートを入った右横に登山届けポスト。
まだ誰もスキー場へは行っていない。スタートから足跡無し。
だるま屋の横の大木を貸しスキー屋のご主人が教えてくれた。その奥が登山道。
丸太階段の遊歩道のようだが、全部雪の下。昨夜の新雪が深い。サラサラ雪(^^)

8:30
東屋。もう股までの深さで進みづらい。ワカンを付ける。楽になった。

9:00
沢の左岸を進み堰堤のところでまっすぐかやや戻って右の稜線か偵察。
堰堤奥に緑のテープ。そこまで行って先は道とは言えない斜面。「わからん」
「どうしよ」といいつつ地図でチェックし、右の急斜面を2本目の送電線がある
はずの稜線めがけてよじ登る。腰より深くてキツイ。胸まで沈むこともある。
「あと一息。頑張れ〜」

ワカンが沈んで今度は抜けない。引っぱりすぎて紐が2度もはずれる。
晴天になった。青空が綺麗。太陽がまぶしい。

9:30
送電線の稜線に出た。天気が良すぎて雪がまぶしい!
左右に道らしき赤テープ。左へ進む。登山道らしい巻き道じゃなく、赤布のある
直登コースを登る。「先週のりかあさん達の布かなぁ」「綺麗に晴れたねぇ」
送電線の脚柱が上からの氷が落ちてきて「カーン、コンコロコーン」とウルサイ。

10:35
粟柄越。南西の稜線から赤坂山へワカンのトレース。2名のよう。姿はない。
「僕らより早く、どこから来たんだろう?」僕たちは石仏を経由して山頂へ。
やや曇りだした。小雪がちらつきだした。「晴天から急に変わるね」とMICKEY。
石仏に安全山行を祈る

10:50
赤坂山山頂。あと30分ほど曇るのが遅かったら良かったのに(;_;)
赤坂山山頂 これから行く三国山
明王禿経由の登山道でいくか、FYAMAで読んだ稜線沿いで行くか検討。
雪の頃の楽しみの稜線沿いにした。「先行のワカンもそうしているぞ」
地図の県境線に沿って進む。さらに曇る。テープも道標も無いルート。
明王禿手前で、稜線沿いのルートは北西に進路をとりP814を越え北進し
2つ目のピークを越えて西北西に下る。そして次の稜線を北進登り。

11:40
三国山山頂。雪が深く、三角点も木札も無い。ふり返って赤坂山を見るが
曇っていてぼんやりと冴えない。ここから先行者は北に下っているようだ。
「ここから東に進むはずなのに・・・」これが間違いの始まりになった。
トレースは北に下り次のコブを登らず鞍部から南東に進んでいる。
「間違いに気が付いたな」山頂から東の稜線に戻るように巻いている。
曇りがきつくなり先の周囲の風景が見えなくなった。巻ききっていないと
思われるのに東にトレース。緑のリボンが木にくくってある。そこで北北東へ
下っているトレースもある。北北東はどう見ても違ってる。
「まだ東へは早すぎるけどなぁ・・・」あたりが見えず東へのトレースどおり
稜線を下る。どんどん下る。「あっ!」曇りがましになり景色が見えた。
「右にも稜線がある。おかしい。地形図では谷間のハズ」「でもトレースは
下りてるよ」しばらく下りる。「あっ!」トレースが終わってる。
「間違いに気付いて同じトレースをのぼったんや。そしてリボンのところから
北北東に進路を変えたんや。そこまで登りかえそう」深い雪の登りはキツイ。
リボンのところで地図をにらみつける。「北北東は絶対違う。さっき右に見えた
稜線のすぐ南に、東への登山道があるはず」先行者とは正反対の方向にトラバース
ぎみに進む。ここでホワイトアウト。360度、数メートル先も見えない。
山頂まで登り返すのが鉄則だが、天候の回復を待つ。長く感じたが、10分ほど
で曇りになって先が見えた。山頂へ行かず、山腹のトラバースを続けた。
信じた1本南の稜線に出た。曇っているがさらに南に稜線がうっすらと見える。
「また稜線?そ、そんな・・・。慌てるな慌てるな」と自分に言い聞かせて地図をにらむ。
心臓がドキドキする。相当焦っている自分に気付く。雪に覆われたすぐ南のガレ場
の崖を普通の斜面に見てしまっていることに気付く。「(^^)この稜線に間違いないぞ!
東進でOK!」登山道らしきものは全く深い雪の下かわからない。
「この稜線を下れば林道にぶつかるはず。あとはみんながよく間違ってるここの
林道の方向を間違わないことが次のポイント」またホワイトアウト。
しばらく待って、今度は晴天になった!!祈りが通じた!!
「遥か下に林道が見えたぞ〜!」とMICKEYに叫ぶ。不安がってるMICKEYにも
やっと笑顔が見えた。急斜面を尻セードで林道に向かう。速い速い。
林道にドーンと滑り下りたら首まで雪。深過ぎる〜。よじ登って慎重に歩く。
「右か左か。運命の分かれ道。地図では右のはずだけど降り立ったところがこことは
限らないし林道が延長されどう延びているかで地図とは違ってくる・・」正面の景色と同定
すると左が正解と僕には思えるのだ・・・。また困った。「晴天のうちに、左に進むぞ」
柔らかい雪でときどきズボッと胸まで沈みつつ進む。喉が渇き空腹で動けなくなる。
小休止。また晴天になった。パンや大福餅を3つ食べ、スポーツドリンクを飲み、
ハリー・ポッターの「百味ビーンズ」をボリボリ食べた。
「あの先に5センチほど雪から丸太が出てるのは道標の頭では?」とMICKEY。
すごい観察力!そこまで進み掘り返す。

13:15
「ホンマや!道標や!白谷集落はこの道から離れて5キロや!直進してたら
えらいこっちゃ」と行くものの道なんてない。「最後は川沿いになるので稜線
より雪に埋まってる沢下りで行くのが最短かな」と尻セードを繰り返して進む。
ときどき沢が口を広げていたり小滝がある。怖い雪の急斜面のトラバース。
柔らかい雪なのでゴソッと流れる。辺りの木や草をしっかりつかみ慎重に。
「あ痛たたたぁ」ラッセル疲れと冷えからか左太股の付け根が攣る。のばせても
曲げられない。だましだまし進む。今度は両方とも。「う〜っ痛い!立てない!」
その繰り返し。最悪のことが頭をよぎる・・・ツェルトと緊急シートはある・・
こんな谷間で雪中ビバークか・・・。「一人で下りられるか」と地図を説明するが
「慌てずやることをやろうよ」とカイロを両モモの付け根に貼ってマッサージ。
数分すると傷みがましになった。「何とか進める。ありがとう」と雪の沢の中を前進。

14:10
「おおっ、林道に出たぞ。山スキーのトレースもある。」方向をコンパスで確認。
ここからは長い長い林道下り。途中でスキーの人が上から下りてきた。
「どこから来たのかなぁ・・」それにしても長い林道だ。でも助かった。帰れる(^^)。
スキーの人は滑って速いなぁ・・・ 林道は南へ続く 琵琶湖も見える
左(北北東)へも林道が下っている

14:55
白谷へのアスファルト道に出た。除雪もされている。車も走っている。
6時間ぶりにワカンをはずした。にわかに曇ってきて吹雪になった。

15:30
長いアスファルト道を息もしづらい位の吹雪で真っ白になりながらゲート前の
駐車場着。車がスキー客で満杯になっていた。しっかり握手をした。
沢登りの時以上に地図とコンパスを使った山行だった。
昔の氷ノ山以来のホワイトアウト。晴れ間に救われた。両足が攣ったときの不安。
反省点も多く、良い勉強になった。低山といえども難しかった。
帰りの車中で反省討論会。無雪期の好天時に今回のルートを再度行こうと決めた。
一つ前の山行記録は「丹後・由良ガ岳」の記録です
耳川・うつろ谷から赤坂山に登ったときの記録にリンク