【大峰南部】笠捨山(1352.3m)・地蔵岳・香精山


【山 域】大峰南部・笠捨山(1352.3m)・地蔵岳・香精山
【日 付】2007年 1月27日(土)
【コース】上葛川・南奥駈道登山口−(郵便古道)−笠捨山(1352.3m)
     −地蔵岳(1250m)−香精山(1121.5m)−上葛川・南奥駈道登山口
【メンバー】矢問・ナイトン
「あと十津川近くの山2つで関西百名山が終わるなら、僕が運転していってやろう!」と
ナイトンが言うので「おおっ、それなら直ぐに出発しよう!」と21時半過ぎに出発。
ナイトンが小中学校時代に、家族で春と冬に毎年2回キャンプに通っていた川湯への
道をいまはナイトンが運転している。「この道、家族でよく通ったなぁ」と想い出話し。
足湯のある道の駅・十津川郷へ午前1時過ぎに到着し、車中泊。霧雨が降っている。
「明日は晴れるの?」「大丈夫、ええ天気になるさ。さあ特製ベッドで車中泊しよう」

6時半に起床し、168号線から425号線に入り、上葛川の集落へと向かう。
「白谷トンネル・4/10まで通行止め」の電光板。下北山村へは抜けられないが、その
ずっと手前の葛川トンネルを通れれば上葛川なので問題ない。
「あれ?捨てるが拾うになってる」 静かな登山道
7:25
上葛川の集落の道の一番奥が笠捨山と地蔵岳の登山口。車は4台くらいは停められる。
ナイトンとは2004年4月に東床ノ尾山へ行っていらい約3年ぶりの登山だ。天気良し。
「南奥駈道登山口」とあり、その下に「地蔵岳・笠拾山に至る」と笠捨山の「捨てる」という
字が「拾う」という字の誤字の道標がある。綺麗な字なのにもったいない・・・。
石柱には正しい文字が彫られていて「笠捨山まで3時間、地蔵岳まで2時間」とある。
上葛川の集落への水を引くパイプが走っているしっかりした登山道だ。鉄メッシュの橋が
2つ、あとは丸太橋に何度かであう登山道。崩れている斜面もあるが通過には問題ない。
20分ほど歩くと、右の対岸に100mほどの落差の滝が吹きだしているのが見える。

岩壁ギリギリ部分の道は石組みで道を造ってある。先人のご苦労に感謝したい。
丸太橋は古くて苔が生えている 一条の滝は水場に良い
8:00
一条の細い滝が落ちている。水場にもいいところだ。このあたりからナイトンのペースが
あがった。MICKEYとの登山と同じ光景で、もうナイトンの姿は見えない。
石の段組みで道を造ってある 大岩壁を巻く道
右手には笠捨山などの山並みが見える。遠いなぁ。
「←地蔵岳参道」と立木に白いプレートが打ち付けてあるところでぐっと右に折れる。
地蔵岳参道との分岐 葛川辻
8:40
石柱や道標のある分岐。左に登ると地蔵岳。まっすぐ行くと葛川辻を経て笠捨山。
葛川辻を経て笠捨山へのルートを採る。ここから登山道や斜面に雪が出だした。
シワジワ登りがきつく・・・ さらに急登「キツイよ〜」
9:25
葛川辻。もうここは尾根筋で、左へ行けば地蔵岳。右へ行けば笠捨山だ。いままでとは
違って、急に傾斜がきつくなる。久々の登山であるナイトンが「キツイ・・」と遅れだした。
先に登ってくるぶしほどの雪のルートに一歩一歩ステップを刻む。息が切れる。
笠捨山の三角点にて 山頂全景
祠の横で早い昼食 行仙岳の電波塔が見える
9:50
笠捨山(1352.3m)山頂。関西百名山、99座目である。
三角点付近はしっかり雪景色。「雷礎」の祠があり、その意味などが書かれているが、
難しくてあまりよく分からない。雪が少なく日当たりの良い「雷礎」の祀ってある祠の横で
ラーメンを作って、おにぎりとで早い昼食にした。「温かい物がうまいなぁ」とナイトン。
笠捨山・東峰でのナイトン「バタッ」 「冷たくて気持ちいい!」
10:30
食後に反射版のある東峰にも足を伸ばした。途中で行仙岳への分岐があり、そこからは
笹がしばらくうるさい。東峰は三角点のある西峰よりも雪面が広く、ナイトンがバタっと
うつぶせに寝ころんで雪の感触を味わっている。「気持ちエエ〜」展望も素晴らしく、
電波塔ある行仙岳がすぐ北に見え、ぐるっと素晴らしい景色だ。

「まだ時間が早すぎるけど・・・」と数名に無線コールしたが応答無し。静かなものだ。
無線機はオンしたままワッチしつつ、下山にかかった。
ナイトンが「足が疲れてちょっと痛い」と遅れ出す。

11:00
葛川辻。来た道を下山するか、尾根沿いを行くかの選択。「同じルートを下るのは面白く
ないから尾根ルートを行きたいんだろ」と図星をつかれる。
「足、痛くないか。行けるか」との問いかけに「行けると思うし、行こう」とナイトン。
では、ここから尾根沿いに「大峰南部では最も峻険」といわれる「地蔵岳」へと向かう。
10分ほどで送電線鉄塔のところだが、雪がしっかり積もっている。ここから三角にそびえ
る地蔵岳がくっきり見える。まるで稲村ケ岳の横の大日山のような感じがする山だ。
雪があったり無かったり 「ぎぇっ、あれ登るの(@_@);」
「えっ、あれを登るの?違うよね。メチャ急な角度やん・・・」とナイトン。
それほど積雪はないと見えるが、ルートが氷っていると難儀するような山と見えた。
慎重にトラバース 鎖場が続く登り 鎖と木の根をつかんで
地蔵岳に取り付く。木の根を持ち、鎖場を慎重に登る。左右分岐で「巻き道危険」の看板。
「どっちが巻き道なのかこれじゃ全く分からんなぁ」右の直登に見えるルートを採った。
「集中しないと危ないなぁ。」いままでワッチしていた無線機をザックにしまう。

鎖場の連続で岩面のついた雪が氷っており足場が滑る。左へトラバースする岩場の足場が
狭いうえに氷ってここも滑りやすい。ここを通過して下らないと鞍部に降りられない。
「気をつけて。しっかり手を探して。三点確保を守って」とナイトンに声をかけて進む。
これでもか、これでもか、と鎖があり直登。雪が氷っていない時期なら怖くも無いが、足場が
なかなか定まらない。「これをまた下ると思うといややなぁ」とナイトン。
同じ事を考えている。
地蔵岳・山頂 岩面が氷りに覆われて滑る ロープでルート確保
11:40
地蔵岳(1250m)山頂。狭い山頂。「お地蔵様」があるのかと思っていたが何もない。
 (お地蔵様は岩陰にあるということでしたが、見落としたようです)

さて下りに入るが、雪が氷っていて次の鎖までの5mの坂が氷の滑り台でつかむところも
ない。ルートを戻るのも危険だしこの5mが何とかなれば・・・・。
「アイゼンを付けてもロープがないと無理だな・・・」とボソッと言うと「10mロープを持ってるよ。
お母さんが持って行きなさい、とザックに入れたから」「おおっ!それなら下れる!」
6爪アイゼンを付けてロープをセットし、先に下り鎖場までの確保をとった。
「アイゼンをしっかり効かせてゆっくり降りろよ」たった5mの氷の斜面。しかしここが下れな
かったら立ち往生だった。続く鎖場や丸太橋を慎重に通過し、もう一度ロープを使い、やっと
鞍部まで下れた。「核心部は終わった。よくやったな」「ホンマに登りも下りも怖かった。
池ケ谷の沢登り以来のスリルやった。アイゼンやロープを車に置いてこなくてホントに良かっ
た〜」とナイトン。全くその通りだ!!
足は滑るし手は無いし・・ 「丸太橋、もつかなぁ」 鎖場の急下降が続く
しばらくはアイゼンを付けたまま雪の尾根道を進む。
登りにさしかかると「流石にアイゼンをつけていると楽や〜」とナイトン。
「四阿之宿(あずまのしゅく)」、「菊ケ池」、「拝み返し」をすぎると樹林帯の綺麗な下り道に
なり、「檜之宿跡」をすぎて送電線鉄塔のところでは展望が一気に広がる。
「ここまで担いできたのかな」 「景色が良いなぁ」 香精山・山頂
12:55
香精山(1121.5m)
ここからどう進むか・・。背丈ほどの笹がこの先は密生している。エアリアで波線の貝吹
金剛から塔ノ谷沿いの道を南下すると駐車地点の車まで戻るのがまた登りになる。
P1023m手前のピークの南東尾根を下ろうと思うが、笹が密集していたら全く無理・・・。
「このルートを下ろう!」 「やっと朝の道に出た!」
左に下るルートを考えながら10分ほど尾根を南下していると、自然林と笹の密生点と植
林帯の境界に人が1人進める位に笹をカットしたような所があった。「きっと東の支尾根
沿いに朝通った道まで下れる」と進む。「行けるぞ!」とナイトンを呼ぶ。どんどん下って
いくと途中で左右にも同じように笹をカットした通路のようなところがあった。右に進もうか
と悩んだが、標高点からどこへ行くのか予測できず、そのまままっすぐ下ることにした。
あと100m程というところで「崖」で踏み跡が消えた。ナイトンを待たせて前と右を偵察に。
全く進行は無理。激ヤブ。左の斜面を下るとまた踏み跡が出た。「行けるぞ!」

13:40
朝通った道に出た。「あ〜、足にもう力が入らない」と、ナイトンの顔にも安堵の表情。
「お父さん、登るの遅いのに、下るのはやいなぁ。僕は何度も尻餅ついたわ〜」とナイトン。

見なれた道を戻る。しばらく歩くとあの水場に良さそうな一条の滝。「ええっ、まだこんな
所なのか。先は長いなぁ・・・」とナイトン。ここからは黙々とペースアップして歩く。

14:10
駐車地点に到着。ナイトンと固い握手。
「やったな。良く歩いた」「あ〜疲れた。帰りはずっとお父さんが運転してな。ふぅ」と。
「アイタタタ!」ドアで指を挟んでしまった。「うう・・・」応急処置で止血した。
さて、関西百名山の最終である「玉置山」へはお手軽登山と行こう。尾根沿いの道を玉置
神社の駐車場まで車で行く。凍結時は通行が危険な道らしいがなんとか行けそうだ。
本日のルート
この1つ前の記録は「若狭・ノロ尾から大御影山 北東ピーク」の記録です