沢【鈴鹿】三滝川/東多古知谷


【行き先】  鈴鹿・御在所山 表道東沿い/三滝川・東多古知谷
【期 日】  2011年6月18日(土) 
【メンバー】 佐野、いるか、Fの、矢問
【コース】  スカイライン工事ゲート前−表道−堰堤−20m斜滝
       −70m百間滝−ナメ−10m滝−二股−表道−ゲート前
今年の佐野さんの「沢はじめ」は2級の簡単で短い沢という。「行きます!」と返事。
場所は東多古知谷。百間滝谷とも呼ばれている。

集合は8時半、鈴鹿スカイラインの通行止めゲートのところ。明日で1000円高速が
最後だというので今日と明日は渋滞予測が出ていた為、念のため家を3時半に出た。

名神の大津ICを過ぎると霧雨、新名神に入ると小雨になり昨日夜の予報より悪化?
道の駅・菰野に早すぎる6時に着いた。雨が降っていることと、6時のニュース予報は
悪化していることを、いるかさんと佐野さんにメールしたが、返事がない。「??」

「8時には、道の駅からゲート前に移動予定」と7時半にメールすると「もうすぐ着くから
道の駅で待っていて!」といるかさんからの返信。「は、ハイ、了解マシした!」
そしているかさんを乗せた佐野号が間もなく到着した。

「現地が雨なら、佐野さんはきっとやめようという返事だと思ったのになぁ」と僕。
「いるかさんがやめようって言わないんだよ・・・」と佐野さん。
「富山からFのさんが来るし、雨は気のせいよ。沢に入れば濡れるしね」といるかさん。
「水量の少ない短い沢だから、適量になっているとも言えるけど・・・」と僕。
Fのさんは道の駅の奥の駐車場にすでに到着していた。Fのさんはいるかさんの山スキー
でのお知り合いらしい。こんな雨の日に遠路はるばる・・・いるかさんに脅された口かな?

雨が止まない・・・。しかし、いるかさんが「行く!」決定したら、従わないとならない
3人の下男衆。「じゃあ・・・行くか〜」と、みんな車に乗り込み、鈴鹿スカイラインの
工事中のゲート前に移動。いつもは大混雑の駐車スペースも雨なので3台ほど。
雨の中、沢装束に着替えて雨具を着る。どうもまだモチが上がらない。
最初から雨具を着て沢に入る準備をするのは08年12月の和束川・不動谷ゴルジュ以来
だが、あの時は「防寒具」として着ていたのであって「雨」で着ていたのではない〜。
雨の中、工事ゲートに向かう 「雨なのに沢に行くアホです〜」
8:50
さて、出発。ゲートの工事見張りのおじさんが怪訝な顔で「どこから登るの?」と。

 「表道の横の沢から登ります。」
 「水量が多いのと違うかなぁ」
 「もともと水量の少ない沢なので、多かったら逃げて帰ります。アホな4人です」
 「気をつけてね」
表道に入る 表道の鳥居の所 安全祈願する
8:55
スカイラインをしばらく歩きガードレールの左手にある表道の標識から登山道に入る。
これでスカイラインをつづら折れで歩くより短縮できる。
表道から沢中に早めに下ったので、先頭の佐野さんが鎌ヶ岳へ行く方向に入っていく。
「佐野さん、表道は手前の右の沢筋のはず」と僕。「ここ、間違いやすいね」と佐野さん。
軌道修正し踏み跡が出たので進むと表道の鳥居や石仏の所に出た。ここから石積みの堰堤
まで進み登山道から右に入り堰堤をこえて沢中へと入る。堰堤からの景色も雨で皆目駄目。
「堰堤からの景色も駄目だね」 「まずは左から越えよう」
「最後が無理だ〜」佐野さん ズルズルのトラバース それ行けどんどん!
9:25
振り返ると、最初の連漠帯がすぐに目に入る。やはり雨で水量が多そうな感じ。
最初の8mは左の岩を登る。雨でややぬめっている。続く4m滝を右水際から佐野さんが
チャレンジするが「無理やなぁ」と戻り左岸の雨でズルズル土壁を登り、いやらしい土壁
をトラバースする為に後続のためにロープをセットしてくれる。でも足場はズルズル・・
「スタートからズルズルありなんて2級で短くて簡単の沢はいったいどうなることやら」
大きな岩がゴロゴロしている。Fのさんが「感動するなぁ。こんな大きな岩」と。
「こここは直登するよ」 「この20m滝は巻きましょう」
9:55
廊下を突き当たると右から水が吹き出ている。「こんな滝あった?」と佐野さん。
「これが直登できる20mの滝でしょう。けど今日は水量多いし暑くないしずぶ濡れシャ
ワーはチトつらいですよね」と僕。佐野さんも「右から巻こう」と。右の岩の割れ目を
じわじわと20mロープを引いて登っていく。Fのさんがビレー。
最初の2mほどがズルズルで悪いが、あとは木がつかめて簡単に巻けた。
20mの滝の落ち口に出る 70mの「百間滝」
上で待っていた佐野さんが「矢問さん、先に百間滝の所に行ってきて良いよ」と。
左岸の踏み跡らしきところを少し登り百間滝の下へ。今日は雨のおかげで水量が豊富。

佐野さんが来た。右岸の方に行って「ベンチ」を探しているが、見当たらないという。
右岸から巻き登ってくるレポもあるのでそちらも佐野さんは偵察。
「台風でベンチは流れたのでは?」と僕。「かもしれないね〜」と佐野さん。

  後日、この辺りを以前はホームゲレンデにしていた通風山さんによると −−−
   「豪雨前は百間滝の下にベンチがありましたが、流されてしまったと聞いています。
   右岸からここに来るには1本西の小谷を巻くのですが、ここも岩をよじるところが
   あります。だいたいあのベンチは一般登山者用に作ったものではなく、沢屋が
   しょっちゅう東多古知谷に入っていて、滝つぼに溜まった流木を片付けたついでに
   作成したものなんです。
   だから上がっていくとなんでこんなところにベンチがあるの?ってなるわけです。
   かつてはなぜか常滑焼の朱泥の湯飲み茶碗もおいてありましたよ。」とのこと。


「ほぉ〜、なかなか迫力あるなぁ」と写真を撮るが、滝のしぶきと雨とでレンズに水滴が
ついてなかなかいい写真が撮れない。みんなが来たので記念写真。これも水滴との戦い。
「寒い〜」「はよ撮って〜」とセットする間もみんなは水しぶきに耐えている。
百間滝を左岸から巻く しっかりした踏み跡の小尾根
10:40
この滝をすぐ右から小さく巻いて苦労したらしい亀さんのレポがあった。さきほど登ってきたとき
に見えた踏み跡らしいところへとずっと右へ回り込み、左斜め上の小尾根らしき稜線が見えた
らそれを目指して登る。その小尾根を左へと進むと百間滝の落ち口に簡単に出られた。
出るところはウォータースライダー状態。「スベリ落ちないように!」と佐野さんのゲキが飛ぶ。
「スベリ落ちるなよ〜」 百間滝の落ち口
10:50
落ち口から振り返ると鎌ヶ岳が見えるはずだけど、今日は全くガスの中で見えない。
しばらく明るいナメが続く。普段は水が少なくて貧弱らしいが、今日は雨で水量が多い為
とても綺麗だ。ドウダンの花が沢山落ちて貯まっている。
いるかさんは女性らしくナメとそこに落ちて貯まっている沢山の花の姿を写していた。
今日のナメは水量もGood 水圧と格闘のいるかさん
ナメ滝を堪能するFのさん 「おっ、濡れずに登れそうだ」
普段は岩がゴロゴロしているところだが、今日は全て小滝状態になっていて飽きさせない。
「ゴロンゴロン」と岩落ちる大きな音が、後ろのFのさんのそのまた後ろから聞こえた。
「佐野さ〜ん、ストップ。後ろを確認する。いるかさんが見えない」Fのさんと確認する。
呼べどもなかなかいるかさんの声が聞こえない。
「あいてててぇ」といるかさんの姿。右頬骨のところに岩のキスマークを付け、右膝には
岩の噛み穴をつけたいるかさんが立った姿が見えた。
「大丈夫か?」「岩を抱いたらそのまま割れて抱いたまま落ちてしまったのよ・・・」
大事に至らず良かった。

自分が手をかけた岩が割れるのはなかなか予期できない。
佐野さんに「木曽駒の西横川の沢で岩が割れて落ちた時のことを思い出しますね・・」と。
「右のルンゼを狙うよ」 「滑らないように!」 「いるかさ〜ん、頑張れ〜」
11:10
「おっ、次の滝も水量が多そうだ」とFさんに声をかけた。前に10mの滝が見えてきた。
右のルンゼも雨だけに滝のように水が流れている。
左が本流だが、まずは右のルンゼの滝状の所を滑らないように慎重に途中まで登る。
そして左の壁に取り付く。その壁へ渡る一歩がいやらしく左手の下が丸見えで高度感抜群。
男3人はメガネなので、雨と水しぶきでくもって肝心の足場がとても見にくい。
トップで行くFのさん 楽しそうないるかさん
流石の安定感、佐野さん 「左股に入るよ」
10mの直登できる滝。右の水際を登っていく。ヌメリがあるところはスリップに注意。
途中からトップで登り、振り返ってみんなの写真を撮る。なかなかの高度感だ。
水量が多く多段の滝に 「ここを登るぞ」佐野さん このトラバースもいやらしい
10:45
1000m付近の二股。右の滝の方がしっかり水が流れていて、左は細いがこちらが本流。
その細い流れを左から登ると小滝が連続して出てくる。「もう小滝も満腹や〜」と僕。
連続の滝が続き2mほどシャワーで直登する所で躊躇。今日はしたくないくらいの水量。
Fのさんは直登したそうにホールドを見ている。佐野さんは左手の壁の岩の縦くぼみを登
ろうとしている。僕も直登の方が安全のような気がしてホールドを見るが水量が多い。
いるかさんはシャワーより佐野さんの登るところが良いとの判断。

佐野さんが、か細い木の根にシュリンゲをかけてくれた。
「右手でシュリンゲ、左手で岩のガバをつかんで、均等に体重分散して左足を上げて
岩のくぼみに足を上げると登れるよ」と指示。佐野さんの体重にはもちこたえた細い木の
根が、僕の体重でももってくれるかははなはだ疑問だが、足をグッと上げると乗ったので
シュリンゲに体重をそんなにかけずに登れた。ホッ。
そこから沢に戻るトラバースも実にきわどい壁を細い1本の木の根を頼りに下りる。
おや?ロープがぶら下がっている この滝も登っていくよ
「佐野さん、サポートありがとう〜」と下りて少し進むと、右岸にろうそくのような岩と
その右手にロープがぶら下がっている。「あの地点から沢に下りた人もいるのかな」
まだ2〜3mの小滝が続く。だんだんと足が冷えてきて上がりにくくなってきた。
「登山道に出たのね」いるかさん 「お〜い、登山道は右手だよ〜」
12:10
先に行く佐野さんとFのさんが「終わった〜」と左手の登山道の道標の所にいる。
「やっと着いたね〜」と頬に岩のキスマークをつけたいるかさんも到着しホッとしている。

「山頂に行かないのですか?」とFのさん。当然「行くに決まっている」と言うと思った
ピークハンターの佐野さんが「今日はもう行かないで下る」と言う。なんと珍しい!!

僕もこの御在所山に数度来ているが、天気の良い日に当たったことがない。山頂の様子も
知ってるしこれだけガスがかかっていると何も見えない山頂であるのも知っている。

「僕も今日は山頂に行かない。いるかさんとFのさんの重いギア類は僕が担いで下りるか
ら二人で空身で山頂に行ってきたらいいよ」と僕。
「ザックは佐野さん、持って下りてね〜」といるかさん。「了解・・・」と佐野さん。

12:20
Fのさんといるかさんは沢沿いに進み出す。「違う違う〜、登山道は右手に行くんだよ〜」
と佐野さんと僕が叫ぶ。頭をかきながらFのさんが戻ってきて登山道へと軌道修正。
山頂までは15分の距離と道標にある。
「先に下山しよう」 法面の崩落地点 百間滝晴見台にて
佐野さんと先に下山にかかる。百間滝晴見台からはガスのためにかすかに見えるのみ。
崩れた斜面のところの工事中のところは真新しいコンクリート。
途中スカイラインを少し歩いたが、工事トラックも多いのでまた表道・登山道を歩いて下る。

13:20
工事ゲートのおじさんに「帰ってきました」とご挨拶。そして車に到着。
びっしょりの服を着替えていると佐野さんの腹部にヒル!上の木から落ちてきたようだ。
こんな雨の中なのに登山者が数人下りてきた。人のことは言えないが・・・。

山頂に行った2人を待つ間に、車内でモービル無線機をオン。D-STARで名古屋大学の
430MHzレピーターが反応したのでゲート越えで生駒レピータにCQを出すと、東大阪の
JN3KKMさんが応答して下さり、僕の車のAPRS軌跡も確認して下さり位置がわかった
よ、とのこと。SSIDの訂正が必要とのアドバイスも頂いた。

山頂から二人が戻ってきたので、片岡温泉に行き冷えたからだをほっこりさっぱり。
ここでみんなと別れた。佐野さん、いるかさんありがとう〜。Fのさんまたよろしく〜。

帰路の高速は、明日が「1000円高速最後」ということもあり、混み始めていた。
すっ飛ばして18時半に帰宅完了。沢装束を洗って干したが、明日も天気はぐずつき模様。
佐野さんは明日は仕事で、いるかさんは山岳救助訓練、僕は山デビューの山ガ−ルに低山
のおつきあい。天気が良くなって欲しいものだがこの模様では無理みたいだな・・・。
本日のルート
この1つ前は「沢【台高】蓮川・野江股谷からナンノ木平」の記録です