【台高】蓮川・野江股谷からナンノ木平


【行き先】  三重県松原市・蓮川/野江股谷
【期 日】  2011年6月4日(土) 
【メンバー】 いるか、りんご畑、とっちゃん、たろー、CUB、矢問
【コース】  江馬小屋登山口−イガミ滝−鶴小屋滝−10m滝−二俣Ca800m
       −左股−6m斜滝−奥の二俣Ca1010m・左股CS10m滝
       −ナンノ木平1180m−北尾根登山道−江馬小屋登山口
「今年の沢始めに癒しの沢に行きましょう」といるかさんからお誘い。
「行く!」と即答。がっつり歩きの芦生の沢を一周するか簡単に楽しめる西谷にするか
との事だったが、たろ−さんの希望で台高の「野江股谷」になったとのこと。
結局、りんご畑さん、とっちゃん、たろーさん、CUB君が参加。CUB君とは初めて。
大阪、三重、愛知、滋賀、兵庫の5府県から女性2名、男性4名のメンバーになった。

「三級の沢中一泊の沢を日帰りで走り抜けて癒しになるの?」と思いきや「この人数で
ロープを出したりしてたら稜線は無理だ」と、りんご畑さん。「行けるところまでで戻ろう」
といるかさん。「去年も黒石谷がこんな感じの企画だったなぁ」と思い出す。

「朝6時にスメールに集合」とのことなので前夜に大宇陀道の駅まで行って仮眠。
たろーさん達は松坂回りで0時に近くまで行って仮眠していたらしい。
眠れなくて3時に大宇陀を出る。放射冷却もあり濃霧だ。鹿や猿が道に出てきて危ない。
午前4時にスメールに着き、弁当を食べて周囲を散歩。5時過ぎにりんご畑さんが到着。
5時半にたろー号に乗った3人が到着。気温は14度。肌寒い感じ。

とっちゃんが「アッセンダーの使い方がまだわからない。CUB君は持ってないし」と。
りんご畑さんが、とっちゃんのアッセンダーを見て丁寧な指導タイム。

6時前にいるかさんが到着。スメールから男性が出てきて「今日は車が多くなるので登山
ならゴルフ場の方に駐車して下さいね」と。車を移動して、矢問号とたろー号で林道へ。
しかし、後ろにいるはずのたろー号が消えて10分ほど捜索ロス。どこへ行ったのか・・。

林道入り口で「どうしよう。携帯も圏外・・・無線機もないだろうしなぁ・・・」
しばらく待つと、3人でダム湖のトイレに寄り道していたらしい。

江馬小屋谷と野江股谷の二股の林道終点で用意をしていると車が1台やってきた。
数名で和歌山から登山に来たという。ここが宮ノ谷の林道と間違えた様子。
「林道を1本間違えてるよ。もう一本、奥の林道」と地図を見せて説明。「助かりました」

ヒルよけにディートの虫除けスプレーを靴やスパッツやズボンに吹きかけておいた。
りんご畑さんも酢のスプレーをしっかりとかけておられた。

7:15
すぐ横の橋の手前から、たろーさんをトップに入渓。下山の帰路はこの橋に下りてくる。
水は澄んでおりとても綺麗だ。「ヒルが多い谷なので被害者がでるかもね」とりんごさん。
それぞれのルートで前進する。しばらくすると6mの滝。右をへつって直登できそうだが
「朝一番から濡れるのはいやだな〜」というりんごさんと意見一致で左の岩間を巻く。
「いきなりすごいゴルジュ」 「泳ぐのはまだ寒いし〜」 向こうに不動滝が見える
両方の岩壁が狭まり洞窟のような暗いゴルジュ。「この奥が不動滝。泳いで見に行く?
僕は右から巻いていくけど」と、りんごさん。
水深は深いし、まだ初っぱなから泳ぎたくない気温で、だ〜れも「行く!」と言わない。
トップでルート工作のたろーさん ゴルジュが口を開けている
次のイガミ滝まで右岸壁の溝状部を登り、テラス状の所をトラバースしていく核心部だが、
「イガミ滝も巻くために恐怖の下りで結局ここへ戻ってくるなら僕はここで待とうかな」
と今年はまだ沢モードになっていないので言うと「戻らんでもエエ巻きルートがあるよ」
とりんごさん。それなら是非イガミ滝を拝みに行かないと!

りんごさんの支点の指示を受けて、たろーさんが9mm×30mロープを引いてトップで
ロープを張り、イガミ滝の手前右岸へ順番に行く。1人1人なので6人で時間がかかる。
ビレイをしているいるかさんの足をヒルが登っていく。「いや〜!とってよ!」と叫ぶ。
「やったぞー!」たろーさん イガミ滝の前で
8:15
巻き途中で右下に不動滝が見える。そしてイガミ滝が右手前方下に。
「イガミ滝の前までは簡単に下りられるよ」とりんごさんに言われ一緒に行く。
みんなも順次やってきた。「お〜、こりゃエエ滝ですね〜」写真タイム。
滝の左右の岩周囲をどう見ても登れそうにない岩空間の滝だ。
りんごさんのルート工作 いやらしのトラバース・その1
「右岸を少し戻って登るエエルートがあるから矢問さん、心配無用」とりんごさんの笑顔。
りんごさんが神様のように見えた。
 (古い沢登りの本にはこのルートは載っていないが、今月発売の吉岡章著「関西起点・
  沢登りルート100」や2011年版の「山と高原地図・大台ヶ原」の溯行図には、この
  りんご畑さんが以前苦労して見つけて登ったという巻きルートが点線で載っている )


ほんの少し戻って、僕の9mm×40mロープを引いてりんごさんが岩壁の凹部を登る。
笛の合図が来てロープの補充に9mm×30mロープをたろーさんが持って行く。
順次登り、ずっと下からの巻きルートにぶつかり、僕のいや〜なトラバース開始。
滑りやすい斜面だが、まだ所々に木があるのでちょっとはマシか・・・。でも苦手だ。
「ここから懸垂下降で沢に下りるよ」 懸垂下降のいるかさん
右下のゴルジュが低く見えだしたところで、りんごさんが支点にする木を指さし、そこか
ら沢床へ5mほど懸垂下降する様子。シューッと先に下りていった。それにみんな続く。
下部の2mほどは空中懸垂だがしれている。いやらしいトラバース「その1」は無事終了。
お腹まで浸かるいるかさん たろーさんがシュリンゲでヘルプ
「ファイト〜いっぱ〜つ!」いるかさん 幅広三条(当日は四条でした)
ゴルジュはやや広くなり小滝がいくつもかかる。幅広三条の滝は右から巻き気味に登る。
エエ感じの沢歩き〜 鶴小屋滝の前で美女?2人
10:25
鶴小屋滝。岩を綺麗に磨いたような造形美の滝。左岸から巻く。少し奥に行くとこれまた
ミニ鶴小屋滝のような滝。これも左岸を巻く。
「いきまっせ〜」りんごさん 「シャワークライム希望!!」
「行くわよ〜」とっちゃん 「任せなさ〜い」いるかさん
幅広5mの滝。りんごさんが左水際の細かいホールドをシャワー気味で登っていく。
順番を待っていると時間がかかりそうなので、僕は右岸のガレを巻くことにした。
そこはなんとピンクリボンが付いている1m巾の登山道になっているではないか。
「巻かずに行こう!」たろーさん 「冷たいよ〜」CUB君 & いるかさん
10:45
また狭いゴルジュになり上に橋が架かっている。先ほどの登山道の橋だ。
「この先の淵を浸かりたくないので上の橋を渡って左岸から滝を巻くね〜」とりんごさん。
「濡れたくない〜」りんごさん
残りの者は「行っちゃおうか!」とたろーさんを先頭に淵に浸かってつぎの滝を直登する。
僕は背伸びすると腰あたりの深さ。女性陣は腰上あたりまでの深さの淵。「冷たい!」
巻くりんごさん、下いるかさん 右水際を登るりんごさん CUB君も頑張って登る
左岸を巻いたりんごさんのルートの岩壁の方がいやらしそうで、僕たちの方が早かった。
7mの滝は水の勢いがすごい 「これは左から登れる」りんごさん
この滝も良い感じ この5mの滝は左から巻く
ゴルジュの終わりかけ7mの滝は右岸を巻き、ゴルジュを抜けたら樋状6mの滝と続く。
「あっ、10mの美瀑ですね」 綺麗な10m滝は左岸巻き
その後にも多くの小滝を過ぎると綺麗な10mの滝。左岸を巻く。
「私は行くわよ」とっちゃん 癒しの空間〜
「こりゃ行けん」りんごさん この滝が行く手を阻む
木がつかめる巻きはまだいいけど こんなズルズルの巻きは超苦手
12:55
またまたゴルジュ。最後は木の刺さる8m滝に阻まれ少し戻って右岸を大巻きする。
ズルズルの超いやらし〜いトラバース「その2」。ルンゼにぶつかり右に下るまでが長い!
イガミ滝のトラバースよりこっちの方が距離が長いし、つかめるのは土の中から掘り出し
たわずかな細い木の根が数カ所。苦手な僕には足に力が入り緊張のピーク。
「あっ、アカショウビンが鳴いてる!」と、とっちゃん。
「僕は、苦手なトラバースでアカショウビンよりももっと大声で泣いてるで〜」と僕。
「鳴かぬなら〜、トラバースさせよう、やとうさん〜」と、とっちゃんがいじめる。
「ギャハハハ〜」と、いるか隊長が大笑いする。ホンマに・・・・・。

トラバースが終わり沢の水に浸かると緊張のあと冷えた太ももの筋肉が痛くなってきた
ので、攣り防止に芍薬甘草湯を飲んでおいた。

標高800m地点の二俣を左へ最後のゴルジュ。
ここは逆くの字で巻く 「巻けますか〜」たろーさん
13:40
6m斜滝は右から巻き、すぐに左に折れる滑り台のようなバンドの岩面を登るのだが、
りんご畑さんが念のためにロープをかけてくれ、みんな安全に登る。

続く多くの小滝は、直登や巻きが簡単なものが続く。

平凡なゴーロが続く。
「しんどいなぁ」といいつつも足取りはしっかりと速度が落ちないりんごさん。
「伏流で暑くなってきましたね」と僕。
左股入り口のCS15m滝 CS15mを巻くと癒しの空間
14:45
標高1010m地点の「二俣」には見えにくい二俣。
左手に岩壁を伝うようなCS15mの滝。左に行きたいのだが右俣左壁を回り混むようにして
この10mの滝を巻き左俣に入る。「おおっ、癒しの空間!木の緑のシャワー!」
巻いた所で小休止。
時間が時間だ。このまま谷を詰めても小滝ばかりで見所もないし時間の短縮のために
このまま右岸の尾根伝いにナンノ木平にでようというりんごさんの意見にみんな同意。
右岸の尾根からナンノ木平へ ナンノ木平 1180m
15:15
ここで登山靴に履き替えて登り開始!
沢靴と違い、登山靴はグリップが効いて急な斜面も登りやすい。しかし息が切れる。

15:40
ナンノ木平。シンボルの大きなミズナラの木が迎えてくれた。小休止。
しばらくは自然林が続く 植林帯には熊の檻
下山開始。しばらくは自然林の良い感じの尾根筋。植林帯に入るとジグザグの急降下開始。
熊の檻もあった。疲れた足には応える下り。登山道というものの腐りかけた丸木橋も2箇
所あり、木の根をつかんで下りるところもある。テープが所々あるがこの登山道を闇下な
んかしたら全くわからないだろう。いまは19時くらいまでは明るいので安心。
   (ナンノ木平の登山ルートも、2011年版「山と高原地図・大台ヶ原」には載っているが、
     僕の持っている20年前の山と高原地図には全く載っていない。翌日購入済み)

「以前、2度ほど苦労させられたのでルートは大丈夫」とりんご畑さんの心強いお言葉。
展望の良い所(Ca650m)で小休止して、またどんどん下る。沢の音が聞こえてきた。
「橋が見えた」りんごさん
17:00
橋が見えた。
たき火跡のあるキャンプスペースのある江馬小屋の登山口で、橋を渡れば駐車地点だ。

着替えをしていると「うわっ、やられた」たろーさんの足から流血。ヒルに献血!
みんなでスメールに向かい汗を流すことにした。やっぱり溯行後の温泉は気持ちよい。

スメール(700円に値上がりしていた)で汗を流し、みんなとはここで解散。
帰路は仮眠することなくすっ飛ばして、家の近くで回転寿司を少し食べ21時過ぎに帰宅

今年の初沢登りは「癒し」だけではなく「いやらしのトラバース」がある沢登りだった。
いるかさん、思いっきりトラバースでいじめてくれてありがとう!
りんご畑さん、頼れるルート取りをありがとうございました!
とっちゃん、果敢にシャワーをもろともせず登って行くパワーをありがとう!
たろーさん、ロープのボッカやトップをありがとう!
CUB君、明るい笑顔で元気に登る若さにありがとう!    みなさん、またどこかの沢で!
本日の溯行ルート+下山ルート
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