【芦生】芦生研究林の防鹿ネット内外の継続植生調査 2019年8月
  2019年08月03日(土) 京都大学・芦生研究林


 「知ろう、守ろう、芦生の森」の夏の植生継続調査日。今年は春の作業の時に、各プロットの
杭の打ち直しやラインの引き直しをしておいたので、昨年の夏の調査時のようにプロットの境界が
全然わからないという苦労はしないだろうと思う。

初回から参加してもう9年目になり、今回は21回目の参加となる。
先月の17日と18日は、院生のF君の研究調査地の作成のお手伝いに芦生研究林に来たので、
約半月ぶりとなる。F君も今日の調査に参加するのでまた会える。

今日は家を6時半前に出て、家のご近所で「虫生川周辺の自然を守る会」の会長をされている
Sさんも初参加予定なので、ピックアップし芦生研究林へと向かう。
   
 8:15
まだ8時すぎなので、かやぶきの里は静かな時間。
今日は鮎釣りの競技があるようで、沢山の釣り人がカウントダウンの号令とともに、我れ先に
と入川していく姿をみつつ、ゆっくりと走った。

須後に9時前に到着。研究林のKさんと、Fさんがいらっしゃったのでご挨拶。
時間も早いので、Fさんが同行のSさんに林道沿いの植物を説明しつつ案内して下さった。
「あっ、ヤマジノホトトギスが咲いている」とSさん。こんな時期に咲いていたのは初めてかも。
   
   
昨年夏のボランティア参加者は10人しかいなくて、しかもプロット境界が不鮮明だったので大変
時間もかかり困った。(去年は尿管結石の熱と痛みと闘いつつの調査だった・・・・。)

一昨年は22名いたボランティア、今回は森林インストラクター兵庫会や大阪会にも声がけし、
大阪会の勝尾寺園地でともに活動している仲間4名も初参加してくれて、一昨年同様の22名で
手分けして調査できることになった。
(22名中、森林インストラクター兵庫会から4名、大阪会から8名、京都会から1名)

春に研究林長のI先生から、毎年の夏の調査方法と今年からは違う調査票での記入方法になると
聞いていたので、初参加の方も複数いるし、慣れるまでにしばらく時間がかかるかもしれないが、
力強い参加者も複数いるので、制約のある調査時間の中、昨年のようには困らないだろう。

10:00
南丹市の担当者の車、そしてJR園部駅からボランティアを乗せたバスも到着した。
いままでにない人数で集合。今回は名札は配らないようだ。

今回は、いままでの継続調査をする調査班22名と、今年度から芦生の森の現状や植生遷移の
状況を広く京都府民の方々へ知っていただくためにも、 一般公募で簡易なルート踏査も別途募集
されたので、そのルート踏査参加者も12名いるため、引率者10名などを含めて合計44名となり、
今までにない集合人数となった。

南丹市のMさんの進行で、室長のAさんのご挨拶に続き、研究林長やMさんから作業説明。
10時20分にバスや5台の車に乗り込み、地蔵峠へと向かう。
 
10:40
地蔵峠。虫除けスプレーをしっかり服の上下にかけて、ヘルメットをかぶり、調査地の枕谷へと向かう。
今日は隊列が長いので、先頭のT先生に「スピードダウンしないと後ろがついてきていませんよ~」と
伝えた。

今年のクマ剥ぎの所で後続を待つことにした。日陰なので、ここでT先生のミニ講座も実施。
・クマハギを表記するのを「クマ剥ぎ」と記すようになった。植物のハギの仲間と勘違いしないために。
・このクマ剥ぎは「中級者」。歯形の筋の違いにより、初級、中級、上級のユーモラスな歯形解説。
・クマ剥ぎをしているのは、夜間ではなく効率の良い朝から昼と思われる。
・芦生の鹿は、2頭/㎢と少ない状態になっているが、なかなか林床植生が回復しない現状。
 
調査地手前のガマズミの実は、去年は沢山赤い実をつけていたのに、今年はまだのようだ。

去年同様に、イワヒメワラビが繁茂しているが、アシウアザミやウバユリは花が目立たず、
ウバユリは複数本出ているもののまだ蕾状態だ。今年は開花も結実も遅いのだろうか。
   
11:25
調査の版は4つに分かれている。いつも大抵は調査地1を担当し、Fさんが主に2を担当
してきたが、今回は調査地「2」が担当になっている・・・。
1と2では植生も違うし、いままでの変遷がわかっていての調査ができないのが残念だ。

僕は3班で兵庫会のOさん、大阪会の3名と、ご近所のSさんの6人。(初参加2名含む)
1班はFさんと、兵庫会の2人、大阪会1人、他2名の6人。(初参加3名含む)
2班はFさんと、大阪会1名、京都会1名、他2名の5人。(初参加1名含む)
4班はHさんと、大阪会2名、その他2名の5人。(初参加2名含む)
今回は初参加者もいるが、作業分担できる人数だ。去年の夏は手薄すぎた・・・。


今回からの新しい様式の記録用紙を配布され、I先生から記載方法についての説明。

様式1の被覆度調査での変更点は
 ・「全体」の被覆度
 ・「イワヒメワラビ・オオバアサガラ・コバノイシカグマ」の占める被覆度 
 ・「上記3種以外」の被覆度と占有種
 ★被覆度は0%は「0」、1~10%以下は「10」、11~25%以下は「25」、26~50%
  以下は「50」、51~75%以下は「75」、76~100%以下は「100」で記入。
 ・今回はブナの本数調査はしない。(春・秋の調査で十分)

様式2の多様性調査での変更点は
 ・上下の区別はしない。サブプロットに生えている全ての木本類および草本類について
  種毎の被覆度を記入。被覆度は「%」で記入し、1%未満の時は「+」と記入する。
 ・木本類は種毎の「本数」も記入。
 ★植物は重なっているため、種毎の被覆度を足し合わせたときに100%を越えても
  問題なし。外の区画から入ってきているものは除外する。外の区画に出ている部分も
  除外する。

去年はアブや蜂にOさんとともに苦しめられた。Oさんは今年も蚊取り線香を持参、僕は
林業者がよく使う蚊取り線香の親分のような強力な赤の「森林香」を持参して腰にぶら
下げておいた。(おかげで今年はアブや蜂には困ることがなかった)
   
3班の担当である、調査区2へ移動した。まずはネットを外して開口させ、防鹿柵内に入った。
春に何者かに切られて抜き取られていたネットの上部のロープが、新しく取り替えられていた。
犯人は未だに不明らしい。

サブプロットに生えているヌルデは幹の直径5cmを遙かに超えて、高さも5mほどの高さに
なっているではないか。クマイチゴの幹も太くなり、枝葉を広げていて、凄いトゲ!
そのサブプロットに近づくには「痛い!イテテテ・・・!」と叫びながら進まなくてはならない。

今までの記入用紙とがらりと変わったことと、基準なども変わり、なかなか頭が切り替わらない。
上下を示す実線や破線での図示もする必要がなくなったが、その「上下」の関係が、複数の
サブプロットを大きなヌルデが覆っている場合の被覆度をどうするのか、他のプロットからの
葉で覆われているときは被覆度に含まないルールだが、それが大きな被覆要素となっていて
影響大となっている場合はどう表現するのか・・・・など、やや検討する必要もありそうだ。

「あれっ?」笹に白いネットが巻かれている。笹を保護しているような感じのネットだが、先生達も
ご存じではない。そっと笹の葉を抜きつつ、ネットやそれについていたペグを外して取り除いた。

「調査研究地内で重なって研究する際には、届け出や許可が必要。誰がやったのだろうか」と。
春のネットロープ切断といい、この笹ネットといい、不可解なことが続いている・・・・。

他の班の記載済み用紙を見ると、今回の様式1の数値ルールに則って記載せず、細かい数値
まで記載していたり、集計入力者には邪魔な「%」の文字まで記載している用紙もあった。

被覆の問題点など記載要領を再度検討し、未記入用紙とは別に、記載例のお手本を作って
次回は配布し、記載方法の統一を図っていく必要も感じた。

ランチタイムは僕はコンビニ弁当。山側の日陰に移動した数人で食べた。
「強力ハンド扇風機」を今年も持参したが必要ない暑さで救われた。

午後は各班ともに残った調査を急いで実施。我が班は、わかりにくいシダ類の同定に時間を
要し、柵外の調査用紙は、すでに柵内の調査を終えた班に託した。大抵Fさん達か担当して
いたこの「調査区2」は、いつも多様性調査が多忙となり時間不足の調査区なのだ。
被覆度も慣れている人と初回者とは感覚が違う。これは過去にも経験済み。初回者ほど大きな
数値を言う。ぐぐっと合わせて面積をイメージするのは、やはり慣れがいるようだ。

「いままでになくシダ類に苦戦したなぁ。イワヒメワラビやコバノイシカグマ以外のシダ類もあと
数種出現していたので、次回はその知識も必要だね」とOさんやF君と話した。
調査を終了し、先頭で地蔵峠へと向かう。
途中で踏査の班と合流し、地蔵峠へと登った。

地蔵峠で、調査をした際の問題点や感想を研究林長から求められ、数名が意見や感想を述べた。
昨年と違い、サブプロットのラインが明確で調査ストレスが減り効率が良かったことや、被覆度の
表記の方法に再検討がいるのではないか、ということが上がった。

踏査の3つの班の初めて来た方からの意見を聞いた。今回踏査された京都府民の方々の中から
これからも芦生研究林や生物多様性、鹿の問題などに興味を持ち、継続して参加して下さる方が
1人でも多く出てくればありがたい。今後は調査や踏査を交互に参加できるようにしていくらしい。

14:15
地蔵峠からバスや各車で須後へと向かった。

15:00
須後に到着。枕谷よりとても暑い。明日も由良川沿いを調査されるFさんと、林内でまた絵を描かれ
るHさんにお別れを言い、Oさん始め知人の皆さんに挨拶して、Sさんとともに須後を後にした。

まだ河鹿荘は節水で入浴できない。今日は早く終わったのでかえで御前も食べずに帰路についた。
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