【芦生】芦生研究林・ 区画法でのシカの個体数調査2016


【山 域】芦生研究林・中山神社区画/長治谷区画
【日 時】 2016年11月26日(土)~11月27日(日) の2日間調査
【メンバー】京都大学16名、岐阜大学5名、日本大学5名、
     一般調査協力者5名の合計31名 
芦生研究林のシカ (ニホンジカ、カモシカ) の個体数調査は、京大の森林生物学研究室の
研究者のみなさんが「ABCプロジェクト」(芦生生物相保全プロジェクト)として毎年取
り組まれている基礎調査。2日間にわたる個体数調査からシカの個体数密度を推定して、
将来の適正な生息数の割り出しなどの基礎データとして活用される。

2013年に参加して、2014年は直前の交通事故で足を痛めて参加できず、昨年2015年
やや体調不良の中参加。今年は2日目が職場の出勤日なので1日目だけの参加になること
を了承していただいた。
数日前に相棒とのアメリカ旅行から帰国したので、やや時差ぼけが残っているものの体調は
昨年よりずっと良い。今年は京大の4年生の参加者が3名と少ない年らしい。

今年も僕は京大6時半集合ではなく、須後8時半着に直接行くことにした。
家を5時に出て、隣の市に住む京大の院生K君を朝5時半に迎えに行き、お母様とご挨拶。
途中の吉野屋で朝食をとり、須後へと向かった。K君は相棒の小中学校の後輩でもある。
園部付近は霧もでているのでゆっくりと走った。
   
   
7:30
美山のかやぶきの里でトイレ休憩すると、奈良のHさんの車。「おはようございます」。
須後には8時に到着。オニグルミの冬芽もずいぶん大きくなっている。気温は1℃。

8:30
京大からのみんなの車が到着した。宿舎に荷物を下ろし、ヘルメット配布。
今年の連絡係のY君に挨拶。先日、三国岳の調査区準備でお世話になったM先生やI君、
Fさんにご挨拶。「今年は明日が出勤なので1日だけの参加ですが、よろしくお願いしま
す。」と僕。今夜の夕食時の差し入れ「秋鹿-秋出し」を渡しておいた。

須後から長治谷まで岐阜大のA先生の新車デリカ・ディーゼルに乗せていただいた。
青空で気持ちが良い。無線機や資料を分担し、行動食をとりつつ点呼と注意事項。
   
9:40
長治谷小屋前で調査地別に資料、無線機等の配布。今日は晴天で温かい。ラッキー!

今回の午前の担当区画は中山地区がC地点。いつもの最奥地点のI区画からはずいぶん
手前にして下さった。C地点ならそれほど息が切れないだろう。岐阜大の応用生物科学部
4年のT君とペアでサポートする。僕はC区画は初めてだかT君は1度経験しているらしい。

午後の長治谷地区は昨年担当したD区画。急な斜面が続く嫌らしい区画。ここは日本大学
生物資源科学部の女子院生のHさんとペアでサポートする。
   
   
9:55
まずは中山地区へ。午前のペアは京大のK君。中山神社裏の急登をT先生やM先生に続い
て登っていく。あつくなってきてFさんに先に行っていただき、息を整えた。流石に若いT君は
元気だ。いつもの最奥部からすると息を整える時間や水分補給の時間があり、ありがたい。

本部からの無線機で全員の配置確認が出来ると、A区画から調査開始の出発。
C区画の僕らは、ルート取りと軌跡は僕が担当し、無線と記録はT君が担当。
初めての地点の出発方向にやや戸惑うが、T君の昨年の記憶に従いスタート。
ルートを探りつつ周囲を観察しながら先行する。最初はジグザグUターンなのだが、
次が尾根直下をどんどんと下降する指示ルート図。

「これでは最初に下に追い込んでしまうのではないのだろうか・・・」とT君とも話しな
がら周囲を観察。鹿の警戒音はないものの、足跡や新鮮なフンはあった。
そして横の尾根筋を登り返すルート図。「時間足るかなあ」とやや心配に。そして、その
尾根裏を観察しつつ谷を越えてその右岸斜面を下降する。なかなか嫌らしい粘土斜面。 
   
   
 「T君、前回もここを通った?」「見えてたのでこちら側を通りました」
「今日は、清く正しくルート図通り行って見ようか・・」と先行する。しかし本当にいや
らし粘土い斜面。
数年で表面の土壌が落ちて粘土が表層にあるので、濡れ落ち葉と共に滑る滑る。どろんこ。

スギで見にくい下部は谷から左岸に逃げて右岸も観察し終了点へと到達した。
「もし、明日雨模様だったら、ズルズルの粘土斜面の今のルートを進まずに左岸の尾根か
ら右岸を観察しつつ下る方が安全だからね」と伝えた。
「明日は慣れていない1年生とペアなのでそうします」とT君。
調査は60分から90分をかける。
   
終了点から本部へ戻る道もぬかるみが多い。登山靴のT君が通りやすいルート取りをした。
飛び石で川を渡り長治谷の本部着。記録を清書して提出し、弁当タイム。
いつもはこの弁当タイムが寒くて小屋のストーブを囲むのだが、今日は日差しも有りぽか
ぽか陽気。外で食べた。  
   
   
13:15
午後は長治谷地区のD区画。去年と同じ担当区だ。昨年同様にFさんの先導で登った。
中山地区の登りほどではないが、F地点の分岐からの登りはやはり息が切れる。
去年は一人で調査して記録したが、今日は日大のHさんとペア。午前と同じく僕がルート
取りと軌跡担当し、Hさんに無線と記録を担当してもらう事にした。

「私、下りが全然ダメで苦手なんです。遅いんです。去年は歩くだけが必死で観察どころ
でなくて」と笑顔のHさん。「心配は要らないよ。ここの調査区は時間はたっぷりあるし、
嫌らしいところも把握しているので。まずは登山靴の靴紐の締め方が違ってるので結び
直した方が良いね。これじゃ、下手したら捻挫したり爪を痛めてしまうよ」と結び直す。
「ホントだ!歩きやすい。ぐらつかない!」「ではゆっくり見ながら出発しようか」
   
   
スタートから尾根直下のトラバース。去年のバンド部分が流されて斜面になっている。
倒木でさらに通りにくくなっているが、Hさんは頑張って通ってついてきている。
周囲を見たり耳をそばだてたりしているが鹿の気配が無い。

「フンがありましたよ」とHさん。記録。木々にナンバリングされた所から谷を挟んで
右岸にルート図はなっているが、昨年も僕でさえ苦戦した斜面。さらにここも昨年より表
土の土砂が落ちていて滑りやすくなっている。
途中で斜面歩きはHさんには無理があると判断し「先に滑り降りるね」と谷まで尻セード。
「少し横の倒木沿いに下ると安全に下れるから、頑張って。体を寝かさず垂直にね」
「はい。う~んちょっと恐い~」といいつつも慎重に指示通り進み、うまく下れた。
   
   
「明日は雨模様だったら、この斜面はルートでも絶対に通らずに左岸からでも見えるので
左岸から観察しつつ下ってね。フンは見えないけど、わざわざ右岸の斜面を通らなくても
鹿がいればみんな見えるから。」と僕。
「そうします。明日は一人なので、ルートを知れただけでも安心できます」とHさん。
   
   
D区画は最終地点が長治谷のトイレ前。
落葉したオオバアサガラのジャングルをかき分けて本部まで直ぐだ。
情報の収穫が少なかったが、記録を清書して最奥部から戻ってくるみんなを待った。

長治谷調査区に入る地点にデポした複数の車両を長治谷作業小屋に回収する必要がある。
僕がまずヴィッツを借りて2人の運転担当を乗せて行き、往復し再度3人を乗せて車を回収。
   
   
16:30
去年同様。ドローンで上空から記念撮影。去年はバッテリー切れ、今年はマイクロSD
漏れで笑いがおこった。無事撮影し、それぞれの車両に分乗し、須後へと戻った。

16:55
僕は明日出勤日なので、先生方やみんなに挨拶し、帰路についた。
河鹿荘に立ち寄って冷えた体を湯で温めて、かえで御膳を食べて帰路へ。
家に着く30分前から小雨が降り出した。明日は雨天だ。怪我のないように祈っている。
20時、帰宅完了。

来週の土曜日は枕谷の「知ろう守ろう芦生の森」の調査地のブナ残存チェックと降雪前に
防鹿ネットを下げるためにまた芦生研究林を訪れる。

★ 1日目 午前0頭 午後1頭/2日目 午前2頭 午後2頭
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