【丹後】ブナの新緑シャワーの高山


【日 程】2015年5月2日(土曜日)
【山 域】京都府京丹後市大宮町と宮津市の境界 内山地区
【コース】内山ブナハウス-駒倉峠-高山(702m)-北尾根ピストン
     -奥ノ谷ブナ林(南東尾根・浅谷ブナ林)-内山の大ブナ
     -東谷ブナ林(南谷ブナ林)-内山集落跡-内山ブナハウス
【メンバー】MICKEY・矢問
4月29日に芦生研究林での調査の際にブナの新緑に酔いしれたMICKEYは、予定していた
花の山より、今日はブナの新緑豊かな静かで涼しい山に行きたいという。

宮津市と大宮町の境にある丹後上世屋内山京都府自然環境保全地域は、京都府内有数の
ブナ自然林を擁する自然豊かな地域で知られている。ここならGWでも静かだろう。
内山山系に広がる北近畿最大級のブナ林であり、約300種の植物が自生しているという。

家を5時過ぎに出た。
かつては夫婦で日本海の筏チヌ釣りに毎週末走り慣れた国道173号線を綾部まで行き、
途中のコンビニで朝食と行動食を買う。気温5℃と肌寒い。
そして京都縦貫自動車道で与謝天橋立ICまで行き、地道を走る。

小野小町の墓がある小町公園に立ち寄ってから、対向車があれば地獄の府道655号線
(味土野大宮線)で天文館を過ぎてさらに奥の「ブナハウス内山」までなんとか到達。
   
   
   
7:35
ブナハウス横と前に、車が3~5台置ける空き地があるが人はいない。
静かで、鳥の声がとても多いのが素晴らしい森の証拠でもある。

すぐ近くの寺跡らしき所では今年も福寿草が咲いていたらしい。
地元の大宮自然愛好会の人達が保護されているようだ。

海抜450m付近の低い標高からブナの分布が見られ、蘇武岳でも見た「あがりこブナ」
も点在している、内山山系で最も美しい林域と言われている。

この内山地区には大宝年間(701年~704年)に高尾山妙法寺が建立され、高地にもかか
わらず広大な田畑を拓き近年まで農業を営んできたという。かつて16戸あった農家が、
昭和初期には7戸に減り、昭和10年には1戸となり、最後の1戸も昭和48年に下山し、
廃村となったという。
   
   
   
高木層には北近畿トップクラスの面積をもつブナ以外に、ミズナラ、ウリハダカエデ、コ
シアブラ等々、亜高木層にはブナ、ホオノキ、リョウブ、イヌブナ等がある。低木層には
ハウチワカエデ、ツリガネツツジ、クロモジ、エゾユズリハ、ヒメアオイ、オオカメノキ
等があり、目を楽しませてくれる。クロモジの新芽の茎の香りもなかなか良い。
ホオノキの花芽ももうすぐ咲くと思われるつぼみが多々付いている。
   
   
   
駒倉峠からはブナハウス前の案内看板に記してあった散策ルートに従って、谷道を駒倉
集落跡へ北進し、ぐるりと時計回りで高山の北尾根を登ろうと思っていたが、峠から北へ
下る道は踏み跡も無い廃道同然で、最初は笹が腰高だったが、胸より高くなりひどい
笹ヤブコギ状態になったので峠に引き返した。

「今日はバリハイ目的ではなくてブナの森林浴だからね」と僕。「賛成!戻りましょう!」
登り返して戻るのは、ササが下向きになっており抵抗が大きくて力が要る・・・。

峠の丸太土止め階段を登り高山の北西尾根を登る。
林床にはチシマザサ(ネマガリタケ)が多く、この時期はタケノコが地面からここかしこと
にょきにょきと何本も生えてきている。
「このネマガリタケのタケノコ好きの人も多いよ」と僕。
ササのない所ではオオイワカガミが尾根筋を占有しているが、花はもう終盤であった。
   
   
   
   
ブナの新緑の淡い光にMICKEYは大満足の様子。「本当に鳥の声が多いね」とMICKEY。
MICKEYは、ブナの木にしゃべりかけたり、抱きついたり、感心して見上げたり。

このような階層構造が豊かな森にはそれぞれの鳥や動物のハビタットやニッチも豊富に
違いない。樹洞や樹上、または地上を採餌場所としたり、営巣場所としたり、避難場所に
するにもこの山の樹木の構造はなかなか良さそうに見える。これからは昆虫の幼虫も増え
親鳥たちが子育てのためにも採餌するためにも飛び交う季節になる。

今や樹木の開葉が進み、鳥の声は聞こえど、姿が葉に隠れてなかなか発見しにくくなる
季節でもある。「バードウォッチングの得意な人のようには姿を見つけられないな」と僕。
「見つけた!}と思ってカメラを向けると、サッと飛んで行ってしまうことしばしばである。
   
   
   
9:10
高山の山頂でしばらく休憩し、北尾根や南西尾根のブナ林を歩いた。
ブナの稚樹も沢山ある。「この山域は鹿害がそれほど無いのかな」と僕。

少し戻って斜面を下り標高680m地点にある「内山の大ブナ」を見に行った。
幹囲3.65m、樹高23m、推定樹齢350年とある。
   
   
   
   
東谷の分岐でしばし休憩。無線機をワッチすると千ヶ峰からCQがでているが、パイル
状態のようだ。頭上を飛び交う鳥を観察しつつ、ブナの木陰でボーッと心地よいひととき。

11:20
ブナハウス横の内山集落跡の石柱を過ぎ、駐車地点に到着。
京丹後ナンバーのバイクが1台停まっているが、人はいない。。
少し離れた所に1人の男性が草花を観察されているのが見えた。
今日初めてこの山で人を見た。
   
   
   
静かなブナ林を満喫でき、スミレ類やオオイワカガミ、イカリソウ、ヤマルリソウなど
多くの花にも巡り会え、美しい鳥の声に癒される良い山だった。

車に戻り細い府道を下る。
下から徒歩で登って来る男性が居た。「今から登ると暑いだろうね」とMICKEY。
   
   
   
朝5℃だったが、下界の気温は28℃。道の駅「舞鶴港とれとれセンター」で特選寿司を
食べて、GWといえども全く渋滞しない地道で快走し、道の駅「瑞穂」でソフトクリームでの
休憩と卵かけごはん用の卵と醤油を買って16時帰宅完了。気温はなんと31℃

荷物を家に置いてから、GW中に横浜に持参する手土産を老舗店に買いに行った。
急いで長男の結納の準備を整えないとならないのだ。いよいよだ。
 本日のルート
 
   この1つ前は「【芦生】芦生の森・調査観察区画の防鹿ネット上げ作業 2015」の記録です