【台高】午年・干支の山 馬ノ鞍峰から山ノ神ノ頭


日 程】2014年1月11日(土曜日)
【山 域】台高・馬ノ鞍峰1177.7m・山ノ神ノ頭1098.9m
【コース】明神谷出合登山口-明神滝-カクシ平-馬ノ鞍峰1177.7m
      -地池越-山ノ神ノ頭1098.9m-P904-P773-登山口
【メンバー】矢問、MICKEY
去年は巳年で、MICKEYとの登山スタートは「干支の山・蛇谷ヶ峰からだった。

今年は午年。よく登った「若狭駒ヶ岳」からと決めていたが、寒波到来で北部は天気が不
安定。「天気予報がまだましみたいな台高の馬ノ鞍峰から山ノ神ノ頭にしよう」と、家を
朝3時半に出た。阪神高速~南阪奈道路を使い途中のコンビニで朝食をとり、気温マイナ
ス1℃と表示されている国道169号線を走り、三之公林道に入り6時半前に登山口着。

この登山口には2005年の10月に山日和さん達とキノコ股谷から山ノ神ノ頭に行った時
来た事がある。あの時には無かった物がある。祠前の鳥居上に「山ノ神」という名の板。

「ここ・・・私も来たことがあるような・・・」とMICKEY。「良く覚えているなぁ。10年前の7月に
北股川の本谷のホウキ谷を沢登りして池木屋山に行った帰路に、間違えて車で来た事が
あるよ。」と僕。

まだ薄暗いので7時に出発することにして準備。今日の日の出は7時4分だ。
この地の晴天予報は「晴天」だったが曇っている・・・。「こんなものよ」とMICKEY。 
   
7:00
山ノ神の祠を拝んで少し明るくなってきたので出発。
車横の路肩に雪が少しある。「ここで雪があるのなら、山の上は・・」と少し不安がよぎる。
今日はノーアイゼン。雪の量はしれていても、凍っている斜面の登り下りが気になる。

階段を登り、明神谷右岸を進む。丸太の橋が何度もあるが、うっすら雪があり滑りやすい。
     
左斜面は50センチ以上のツララがあちらこちらに出来ている。細い滝が左斜面から落ち
ているがツララだらけで落ちたところは凍っている。
「せっかく来たのだから明神滝を見てから行こう」と100mほど下る。
     
7:30
明神滝。落ち口の左側は大きなツララだらけ。下の釜の左ははねた水が凍っているし、
水面の岸辺に近い部分は丸い氷と分厚い氷の面になっていた。
MICKEYが水面の分厚い氷を割って記念写真。滝しぶきがかかって寒い、寒い。

登山道を進むと、やや崩れている所もあったり、岩斜面を横切るルートは岩が凍っていて
ツルツルで、慎重に通過。足にも手にも力が入る。
リスが倒木の上を走っている。
     
8:25
何度も丸太橋を渡るのだが、ある少し傾いた雪と氷で滑りやすい丸太橋を慎重に渡ると
後ろのMICKEYは「この橋を渡るのは絶対にいや!」とロープを出して橋の下に一旦
下りて、下からロープを僕に投げて確保し登って来た。「安全第一よ」とMICKEY。
鹿が2度ほど斜面を登っていった。
   
   
8:40
カクシ平。沢沿いに進み、尾根に登るか、北東にのびる支尾根に乗るか。偵察がてら沢沿
いに少し踏み跡を進むが、右の支尾根に乗ることにした。もっと手前で尾根に乗る予定だ
ったが尾根が二俣になっているし、どうせ同じ地点に行く尾根だからと登る。しばらく登ると
岩壁出現。木の根をつかんで途中まで登ったが、岩も根も凍っていてツルツルで危険。

「ほんの10数メートル頑張って登ればあとは行けると思うけど、どうする」と上から僕。
「岩壁の縁を右に回り込んで、南側から取り付いた方が安全で良い」とMICKEY。
一旦登った岩壁を下るのは登るより怖かった。先にMICKEYが斜面をトラバース。
「凍てついた斜面をうまく行くものだなぁ」と感心。「登れそうよ」と先行のMICKEY。
滑りやすい薄雪の斜面をMICKEYの為にステップを切りながら僕が先に登る。

支尾根に乗ると、地形図で見るよりやせ尾根。つかめる細い木があるので助かる。
「どうもMICKEYの調子がおかしい。こんな登りは僕よりガンガン行くはずなのに・・」
冷たい風がビュービューと音をならしてきつくなり出した。先に上着を着ておいた。
馬ノ鞍峰の西南西尾根に乗った。テープが出始めた。

9:50
Ca1073m。後ろから来たMICKEYが「両足を攣ってしまって痛い・・」と言う。
ツルツル滑る斜面に力を入れて登り続けたからかも知れない。MICKEYが足を攣るのは
生まれて初めてという。「芍薬甘草湯をちょうだい」とMICKEY。手渡して少し休む。
「縦走はやめて馬ノ鞍峰をピストンで帰ろうか。どうする」と僕。「ゆっくりマイペース
で歩くから行ける。大丈夫よ。この尾根をまた下りるのはいや」とMICKEY。
ゆっくり進む。地形図には現れない下り斜面もありツルツルでMICKEYが遅れる。
   
   
10:30
馬ノ鞍峰。1177.7m。
この北には10年前にMICKEYと沢登りで登った池木屋山がある。
記念写真を撮ろうとするが、風がきつくて三脚が何度も倒れる。しかも完全に逆光。
無線機FT1Dを出してAPRSを何度も何度も試みるが、キャッチされない。残念。
ボタンを押す手もかじかんでしびれてきた。待ってるMICKEYも「寒い、寒い」と。
「予定より到着が遅れた山頂で15分も経過した。出発しよう。」と僕。

ここから南東にP1164mを目指して行くのだが、今までよりも雪が深くて、くるぶしあた
りまで沈む。しかもやせ尾根が続き、木をつかんでオラウータンのように進む所が多い。
アップダウンの繰り返しで、斜面を下るときが凍ってツルツルで怖いところもあるので
足も痛み、下りが苦手なMICKEYは遅れ気味。やせ尾根を抜けたと思うが、こんな尾根
がまた何度もあると時間切れになる。戻るべきか葛藤する。
「もうすぐP1164。どうだ、行けそうか。先は長いので無理はやめよう」と僕。
「マイペースで行けるから大丈夫」とMICKEY。「もし途中で無理そうならヒクタワ谷か
らキノコ股谷に下りて帰ろう」
   
   
11:30
やっとP1164mに着いた。先は長い。MICKEYのペースはいつものようには上がらない。
「ここからうまくいって4時半下山。下手すると5時半かな・・。」と僕。
ザックの中のスポーツドリンクを飲もうとすると半分凍って、ガリガリのシャーベット状。
よほど気温が低いのだろう。


下り始めると前から人影。ライフルが見える。猟師さんだ。
「今日、こんな所で人に会うとは思わなかった。登山口の神戸ナンバーの車かい」と猟師
さん。昔は沢山縦走者が歩いていたが、近頃は会うことが少ないらしい。キノコ股谷から
ヒクタワ谷を詰めあがって県境尾根に出たらしい。僕らが山ノ神ノ頭を目指してそこから
西尾根を下って登山口を目指すことを告げると「地池越から山ノ神ノ頭か。今からだと
日が暮れる直前かもしれんな。キノコ股谷を歩いたことがあるなら、俺の足跡があるから
ヒクタワ谷へ下ってキノコ股谷を行ってもええと思うけど。この先の積雪もこんなもの
だから雪の深さは心配ない」とのこと。猟師さんは馬ノ鞍峰よりまだ先に行って猟をして
ぐるりと戻るらしい。「気をつけて行くんだよ」と言って下さった。
「ありがとうございます」と、MICKEYも優しそうな猟師さんに会えて元気になった。

猟師さんの足跡と獣の足跡がまだまだずっと続くと思いきや、別れてから400mほど
で右の斜面へと消えていった。ここから下るか、また思案。「頑張ろう」とMICKEY。
綺麗なブナ林や台地状の所もあり、良い感じの稜線だ。しかし、地池越までは5つくらい
のピークのアップダウンがあるので、MICKEYの下りのスピードがガクンと落ちる。
「頑張れよ、MICKEY」と何度も心で叫んで振り返ってMICKEYを見た。風が強くなる。

MICKEYがお腹が空いたと言う。ダウンジャケットを着て、太いブナかげで湯を沸かし
ラーメンとパンを食べる。日暮れ時間までに下山したいと気は焦るが、しばしの休憩。
   
13:50
地池越。「約1時間遅れか・・・。」と次のピークを少しでもトラバースして時間短縮を
試みようとするが、谷が入っていて思った以上に上に登ってからトラバース開始。
後ろのMICKEYが進みやすいように雪面深めにステップを蹴り込むが、所々は凍てつい
て蹴り込めない所もある。「行けるか~」と僕。「足は大丈夫、行けるよ~」とMICKEY。
「バーン」と銃声が聞こえた。「あの猟師さんかしらね」とMICKEY。

トラバースを終えて後ろを振り向くと、雪の斜面にべったりと寝転んでスベリ落ちるのを
腐った切り株につかまりなんとかぶら下がっているMICKEYがいた。足場が完全に凍結
してツルツルだった斜面で足を滑らしたようだ。僕もそこの通過は慎重にした所だ。

「手を離すなよ!。その切り株は腐ってぐらぐら。もっと下を持たないと折れる。ゆっくりと
這い上がれ。慌てないで!」というと、頑張ってジワジワとせり上がり体勢を直せた。
「あれ? ストックはどうした??」と僕。 「もう少し上で落としてしまった・・・」とMICKEY。
「そこからなら登って回収できる。ゆっくり頑張れ」と僕。MICKEYは頑張って登り回収した。
   
14:40
「父ヶ越」と黄色い太いテープに記してある。「カコウキ越のはずなんだけどなぁ」と僕。
キノコ股谷から台高山脈を越え伊勢大杉谷に続くカコウキ越は、古来から大和と伊勢を結
ぶ重要な交通路だったと読んだことがある。この東の父ヶ谷から北谷を詰めるとここに出
るので、父ヶ谷からこの名を記したのかも知れないのだが、詳細はわからない。
「バーン」とまた2度ほど遠くで銃声が聞こえた。
   
   
山ノ神ノ頭への登り開始。遅れているMICKEYが登りやすいように雪面にステップを
刻みながら登る。

15:10
山ノ神ノ頭。1098.9m
ここに2時に着きたかったけど、だいぶ遅れた。仕方がない。
記念写真を撮っていると、黒い塊がすぐ横を歩いて行った。「イノシシよ!」とMICKEY。
突進してこなくて良かった・・・。

「もうあとは下るだけ?」とMICKEY。「あと3つ登りがあるけど、最後のP773mからの
下りが暗くなると、やっかいだから出来るだけ急ごう」「急ぐのは無理・・」とMICKEY。
足が痛むのだろうか・・。でも弱音を吐かずに歩いている。「MICKEY、がんばれ!」

はるか遠くに白い頂きの山が見える。白髪岳だろうか。
左側が植林帯になってきた。以前、山日和さんたちとキノコ股谷から登って来た地点
100mほど北に進むと右下に池が見えた(15:50)。西へ進路を変えてP904mへと登る。
P904mからの下りも凍てついてツルツルでMICKEYがどんどん遅れる。気が焦る。
「おや?西の尾根に向いてる。違う、南西に向かわないと」と20mほど登り返して
軌道修正。「よくわかったね」と感心するMICKEY。「コンパス見続けてるから」と僕。 
     
「MICKEY出来るだけ急げよ~。日が陰り始めた。下りの樹林帯は暗いと危険」と僕。
でもやはりペースをあげるのは出来ないみたいだ。痛そうな足で頑張って下って来ている。

16:45
最後のピーク、P773m。あとは下り。MICKEYの姿が見えない。相当遅れたか・・・。
声を出すと、5度目に反応があった。今日の日の入りの17時05分まであと20分。
闇下は避けたい。MICKEYが来た!。

「ここからは西へと500mほど下るのみ。踏み跡がなんとか見える内に下ろう」と僕。
しかしMICKEYは全くスピードを出せない状態。「マイペースで行くから大丈夫」と言う。
   
少し下ると「おや?」土止めの丸太階段があるではないか!「MICKEY、下までうまくつな
がっているかもしれない!まっ暗にならないうちに急ごう」と先に進んでいく。
3箇所ほど青い網が設置されている。虫を集めているのか、葉を集めているのか???

階段は切れたり現れたりするが、左右を見ると踏み跡がなんとかわかる。ジグザグについ
ている部分を気づかずまっすぐに行きかける所も多いが、すぐに気づいてまた踏み跡を
下る。「ここはまっすぐに行くなよ。曲がれよ」とだいぶ後ろにいるMICKEYに伝える。
落ち葉が覆っているのでこの暗さではほとんど見えくなる寸前だ。「動物的な勘だな。」

Ca540m付近でテープがあり、しっかりした踏み跡は北に向かう。このまま西に下った方
が早いのに・・、と思いながらも50mほど踏み跡通り北に行くが、時間的に無駄に北には
行きたくない。ヘッデンを出して一点の視点よりはかすかな全体像がぼんやりでも見える
方が踏み跡の判断が出来る。このままで下る。
「引き返して上向きの矢印がある地点からそのまま西の尾根を下ることにしよう」と僕。
黙ってMICKEYは従ってくれた。しばらくしてまた丸太階段があった。「私の普段の行い
が良いからかもね~」とMICKEY。またわかりにくい落ち葉のジグザク踏み跡道。
後ろのMICKEYの姿が闇に包まれて少し離れるとほとんど見えない。声で指示する。

左下で車のライトが見えた。もうすぐだ。「ブーッ」クラクションが鳴った。「おーい」
と声があり「おーい」と返事をした。「あの猟師さんの声のようだ!」と僕。
MICKEYがぼんやり見える四角を見て「堰堤があるのかな」と。「東屋の屋根」と僕。
   
17:20
東屋に到着!。もうほぼまっ暗。2分ほどしてMICKEYも到着。「よく頑張ったな」と僕。
「こんなにアップダウンがあるなんて。ツルツルだし木を持ったり手もだるい!。日暮れ
との戦いは2002年10月の台高・木屋谷川本谷から国見山・明神平の沢登りの時以来だ
わ」とMICKEY。「僕もあの時の事を思い出しながら下ってた。あの時も寒かった」と僕。

「この先にある丸太の橋を渡ったら林道にでられるからね」と僕が先に暗闇の橋を渡る。

林道に出るとやはりあの猟師さんだった。「わしも30分ほど前にもどった。もう帰った
かと見に来たらまだ車があるので、ヘッデンもってるのかなぁと上を見ても光らないので、
クラクションを鳴らした。声が聞こえたので安心したよ」とご心配をかけたことを詫び、
しばらく猟のお話しを伺う。やはりあの銃声はこの猟師さんのもので鹿をしとめたらしい。
「じゃあ、気をつけて帰えりなさいよ」と奈良ナンバー551の軽トラックの猟師さんは
先に帰られた。僕らも靴を履き替えて、お茶を飲んで一息ついて出発した。

11月に工事が終わって入浴できる「山鳩の湯」の最終時間にも間に合わず、次男に
買って帰るはずの「松屋の柿の葉寿司」もすでに店が閉まっていて買えず帰路についた。
復路も往きとおなじく道は混まずにスムーズに快走し、家の近くのめし屋で夕食。

帰路も3時間で帰宅出来た。アドレナリン出っぱなしで睡魔にも襲われず、すぐ風呂に入る。
歩数計は16,608歩、13.1km、 登り2,060歩、3,783kcal、 燃焼脂肪75.8gと出ていた。
そんなに歩数が少ないはずがない!。ポケットでうまく反応しなかったのかも。。。
 本日のルート
 
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               【翌日のおまけ散歩低山登山】

翌日12日は二人とも軽い筋肉痛。筋肉をほぐすべく、近くの舎羅林山を僕が正月5日に
散歩がてら登ったコースを二人してぐるりと登って歩いた。男性1名とすれ違った。

一の鳥居付近の新名神の道路工事の進み具合も見える。工事はまだまだかかる。
歩数計は8.4kmで、歩数10,748歩、登り1,020歩、2,364kcal、燃焼脂肪31.2gと表示。  
   
   
 翌日のおまけ散歩低山登山ルート
 
  この1つ前は「【北摂】師走の五月山縦走24kmチャレンジウォーク」の記録です