【芦生】芦生の森の防鹿ネット内の継続観察2014
  2014年06月07日(土) 京都大学・芦生研究林


 「知ろう、守ろう芦生の森」の植生調査区画の防鹿ネット上げ作業を、雪解け直後の
芽生え前、4月29日にボランティアの有志9名(H・F・T・H2O・F夫妻・ふぉれすと・MICKEY
・矢問)で実施
してから、1ヶ月少しが経ち、今日は調査区のネット内外の植生調査の日だ。
この調査ももう4年になる。
   
   
   
   
朝6時半過ぎに家を出て吉野家で朝食を食べ、かやぶきの里には8時10分に着いた。
芦生研究林での集合の注意書きに「9時半以降、10時までに着くように」と早く着きすぎ
ないように
との事であったので、観光客のいない静かなかやぶきの里をのんびりと散策。

僕は何を見ても珍しくて感動するが、幼少期にこのような家に住んでいたMICKEYは別段
特に感動することも無く、「これも知ってる、あれも使ったことがある」と普通に見ている。

いつも芦生へ行くときはここの駐車場でトイレ休憩するが、集落内をのんびり歩くのは、
2006年に白尾山から杉波谷山(鉢ケ峰)を歩き、知井八幡神社に下りてきたとき以来だ。

おばあさんが畑仕事をされていたりと、集落ののどかな時間。樹齢400年と言われて
いる北稲荷神社のトチノキも元気そう。(幹周510cm 樹高25m) 気温は18℃。

研究林の手前でも5分ほど時間調整。後ろから来ていたふぉれすとさんの車が先に通過。

9:35
研究林の講義棟前に入り、研究林のH班長さんの誘導で駐車。

大学から指導者3名+僕たち調査者33名(学生や初参加8名+地元地権者の方2名を
含む)+行政から6名。女性は今回9名の参加だ。

徳地先生から資料を頂き、南丹市の村田さんから今日の作業内容の説明があった。

今日は京都大学からは高柳先生ともに、研究林長の徳地先生や大学の学生さん4名も
同行される。4つに班分け。MICKEYは奈良のHさんと同じ3班(10名)、僕は4班(10名)。
同じ班のH君は経済学部らしい。今日は新しく「腕章」も出来ていた。各自が腕につけた。

地蔵峠までは6回目の参加のMICKEYは車内で再度作業説明のあるマイクロバス。
最多参加回数の僕とHさんは南丹市のNさん運転の公用車で行くことになった。
移動中に見えるツルアジサイやイワガラミ(ツルアジサイの装飾花には4枚のガク片がある
のに対し、イワガラミでは1枚。丸く大きな鋸歯のイワガラミ、細かい鋸歯のツルアジサイ)
について話したり、オオバアサガラの花を見て「あの白い花が好きなんです」とHさん。

(鹿食害地とオオバアサガラ:4年前の2010年に東京農業大学と森林総合研究所が
 オオバアサガラによる、鹿の食害地での応急的対処戦略を研究発表をされている)
 
11:00
地蔵峠に到着。小雨が降り出して、みんな雨具着用。各班で必要機材を持ち、移動開始。

沢を渡りヤブデマリが沢山咲いている所を過ぎると枕谷の調査区。4月29日にネットを
上げたときから1ヶ月少しで、あの時よりも多くの草本類が繁茂している。

8月は生えている植物を1つ1つ調べたり被覆度を調べるが、今日はブナの稚樹の残存
本数を調べるのが目的だ。

まず、高柳先生からこの調査の意義と、過去と今の芦生の森の変化の解説があった。
調査するときにはありがたいことに小雨もやんだ。
   
   
   
僕たち4班10名は、K室長の指示で3つのグループに分かれた。
僕は、参加2回目のMさんと初回のA夫人と組んで、一応調査経験数からリーダー役となった。

僕らの担当調査プロットは、「柵内の除去区」4.5.17.16プロットと「柵内の放置区」13.14.
15プロット。サブプロット図の見方や、位置の割り出し方、もっとも間違いやすいブナとアカシデ
などの稚樹の葉の違いなどを、MさんとAさんに葉脈や鋸歯等の説明をして、お二人を中心に
残存調査を体験して頂いた。僕は記録しつつ同定の補助。

折れた目印串を取り替えたり、生存本数や枯死本数の記録も、時間が過ぎるに従ってお二人も
慣れてきて「これはブナだ」「これはアカシデだ」と、スムーズに作業も運んだ。
   
イワヒメワラビの除去区が、まるで放置区のようにいろんな草本類が生えて木本類の稚樹が
生えている。かきわけかきわけ串を見つけてはブナかシデかを確認。
「イテテテ」かき分けるも、大きく伸びたクマイチゴの茎のとげが手や顔に刺さって痛い。

イワヒメワラビの放置区は、いまはまるで除去区のようだが、あと2ヶ月するとまだチラホラと
葉が出ている程度のイワヒメワラビが腰高位になり放置区を厚く被覆する。
「8月の調査こそが藪状態で大変なんですよ。他の草本類や木本類の名や被覆度も調べる
ので。毎年風散布や鳥散布などで、いろんな種から生えてくる植物の様子が変わります。」
とMさんとAさんにこの4年間のことを思い起こしながら話す。

木陰でHさん、Sさん、Kさん、Aさんご夫妻と弁当タイム。
上にはサワグルミの果穂が沢山ぶら下がり、白いハクウンボクの花が咲いている。
夏鳥のジュウイチの鳴き声も聞こえている。「姿が見えると良いのに・・・」とMICKEY。
今日は上空に寒気があるので、涼しくて汗もかかずに助かる。

昼からは、雪圧で破損している区画目印のプラ板を打ち替えと区画テープの貼り替え。
MICKEYと僕は、オートキャンプの時のペグ打ちに使っていたゴム頭の木槌を持参した。 
   
 クマハギの説明  上が正規道・下は入林者の踏跡道
清く正しく上の正規道を進む
13:25
ウツロ谷のABCプロジェクト調査区へ移動開始。
途中で、昨年も説明のあったクマハギ地点でミニ講座。
 
   
   
次に、鹿柵を、閉鎖-2日間開け-4日間開け-8日間開け-16日間開けの状態にした
それぞれの鹿柵内の植生の状況がどれだけ違うかがわかるところでミニ講座。
4月に見た時よりも明確に違いがわかるくらい各柵内のいろいろな植物が成長していた。
   
   
   
14:20
ABCプロジェクトの柵内と柵外の説明を受けた。これも4月とは明確に柵内と柵外の違い
がわかるくらいに植物は成長していた。森の周辺の状況とは大違いに戻ってきている。
 (昨年11月12月の毎年恒例の区画法によるシカ個体数密度の推定調査にFさんやH
  さんと共に参加させて頂き、学生さん達の調査のお手伝いをさせて頂いた)

ABCプロジェクトに関して参加者へ資料 が、ウツロ谷の防鹿ネット内に入る前に配布された。

2006年から始まったこのABCプロジェクトも8年になる。
柵内でも、やはり日照状況の差が大きいのか、右岸はすごく沢山の植物が繁茂しているが
左岸はまだまだ戻り方が少ないように見える。 

芦生の猟師さんたちの早朝の大変な時間帯のご協力で、過去5年間で33頭の鹿を捕獲し、
昨年は1年で22頭を捕獲したとのこと。まだまだ鹿は居る・・・。
(来週6月9日~7月11日までの夜明け~朝8時半まで、銃器による鹿の捕獲を実施)
   
     
 15:10
長治谷作業所前に戻る。
Fさんとモリアオガエルの卵を見に行く。まだふ化していないようだ。

予定より40分遅くなり、村田さんは焦りぎみ。高柳先生とはここでお別れ。
「先生、ありがとうございました。」 みんなは、各車に乗り込み長治谷を出発。
   
16:05
研究林講義室前に到着し、地元地権者のNさんからのご挨拶とお話しを伺った。

予定より50分遅い解散となったが、気温は22℃と気持ちよい調査日だった。
調査時間からは雨にもあわず、暑がりの僕たちにとっては涼しい一日で本当に助かった。


僕とMICKEYはいつものごとく河鹿荘の鹿肉料理「かえで御膳」と「鹿カツ」を食べて帰路に。

帰りに実家に行く予定で急いだが、時間が予定より遅くなったため今日はあきらめ、日吉
温泉で汗を流した。明日は朝7時に実家着で、クーラーの不調を見にいくため、ホームセ
ンターへ必要物品を購入すべく、空いている道を爆走。
閉店時間20時半の15分前に滑り込みセーフ!。明日の必要物品も購入完了。ホッ。
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