【芦生】芦生研究林・八宙山からブナノキ峠

注:事前にルートや目的等の詳細を入林申請し入林許可が必要


【山 域】 芦生/京都大学芦生研究林
【日 時】 2013年11月2日(土)
【メンバー】MICKEY、矢問 
【コース】 地蔵峠-中山神社-長治谷小屋-八宙山-傘峠-ブナノキ峠
      -けやき坂-池ノ谷左岸尾根-サワ谷出合-中山神社-地蔵峠
 
地蔵峠からの入林が、シカ害や調査対象の植物の盗掘等が相次いで、2006年に禁止され
てから久しい。入林者の多い、上谷もまだまだ昔の姿にはほど遠い状態だ・・・。

「一般入林者も詳細な行動計画を伴う事前申請をすると許可をすることがあります」と
地蔵峠の車止めの告知看板や研究林のホームページには明記されている。

詳細を事前申請し、「許可番号」を頂いてからしか入林してはならない。

今年の8月に申請書を提出し、何度かのやりとりのあと入林許可を頂いた。

今回の尾根筋を歩くのも久々になる。2004年9月にはMICKEYとツボ谷から傘峠(935m)
そして八宙山へと歩いた
ことがある。

朝の出発が日の出直前と少し早いので、生杉のトイレ横で日付が変わる前夜から車中泊。
(少し手前にランタンをつけてキャンプしている車が1台あった)
「すごいよ!星の数が!」とMICKEY。見上げるとアルプスで見るようなすごい数の星が見える。

朝5時前に起きて、お湯を沸かし、うどんと弁当を食べて、長靴を履いて出発準備。
まっ暗なので、ヘッデンと小さなLEDランタンはとても役立った。

5:50
うっすらと明るくなったので出発。だんだんと明るくなり始めた。
今日は、申請書に記した日帰り装備の他に、今の季節に合わせて木の実や種の本を3冊、
秋の野草の本を1冊、樹木の葉の本を1冊、小さなショルダーバッグに入れている。
二人であれやこれやと観察したり、同定しつつ歩く予定だ。

「ウーァオーアオー、アオウアオー」という不思議な声。「アオバトの鳴き声だな」
「この前のFさんの観察会で、FさんやHさんと話してたアオバトね」とMICKEY。
   
   
   
「雲海も綺麗よ!見て!」と左手の景色を指さすMICKEY。「おっ、ホントだ!」と僕。
9月の台風18号の豪雨で、須後の林道と同じく、この先の林道が崩壊した部分がある。
研究林のHPの写真で見るより広く感じた。まだ亀裂が出来ていて危ない部分がある。
   
   
6:20
地蔵峠の右手の斜面の穴にある地蔵様に手を合わせて入林。
10/15~11/08までの平日の夜明けから午前9時までは、銃器によるシカの捕獲を
されている。今日は土曜日なので心配なし。
まずは中山神社の前を通り長治谷へ向かって行く。落ち葉の絨毯が気持ちよい。
   
   
   
6:40
長治谷作業小屋前。車が1台。男性と女性が見えた。
「おはようございます」朝の挨拶。研究者らしい感じで、早朝から忙しくされている。

今日はここでテント泊して1泊2日予定の申請を許可して頂いていたが、息子が帰省して
来るという連絡や、所用もありで日帰りのみに変更通知をした。

指定テント場は、今日は僕らの他に8人ほど申請があったと聞いているが、まだテント泊
をする人の姿はなかった。長治谷から中山までも木の葉や木の実を見ては、本で調べなが
ら二人でああでもない、こうでもないと言いながら歩くために、なかなか進まない。
今日はこんなペースがずっと続くが、芦生の森をのんびり歩けてこれもまた良しである。
   
   
   
7:10
中山で渡渉し尾根を南へと登る。新しい長靴でちょっと登りにくい。休み休み登る。
「尾根の立派な巨木が見えるまで登るよ。そこで南西に進路変更する」と僕。
「イワウチワの葉が多いね」とMICKEY。イボのようなぷよぷよしたキノコやシロキク
ラゲなど色々と目につく。その都度、ああでもないこうでもないと意見を言い合う。
シカが樹皮を食べてしまっている木も目立つ。
   
   
   
   
   
   
 「おおっ、あの巨木が見えてきたぞ。懐かしいな。立派に健在だ」と僕。
ここで進路を南西に変える。八宙山(8:25am)を過ぎて登りにかかる。

大きなブナがボキッと折れている。北側には三国峠方面が見える。
   
   
8:50
傘峠 935m。黄葉が綺麗だ。少し先の木の3mほど上を見上げるMICKEY。
「この木の3mほど上に傘峠という古い山頂札があるのよね」とMICKEY。
「傘峠・937 歩歩歩倶楽部」という山頂札と樹皮の色が同化していて、知らないと
見過ごしてしまう。地形図では935mなのだが、937というのは標高だろうか。
傘峠は久々なので記念写真をとりゆっくりと休む。静かだ。
   
   
 しばらく進むとイワヒメワラビの群生地。Fさんのブログにもあったようにイワヒメワラ
ビの下をのぞいてみる。ヒロバスゲがあり、クマイチゴがあり、イヌツゲ、ミヤマイボタ
などが生えていた。
   
   
   
尾根を南南西に進み、北西に進路を変えるあたりはイワヒメワラビの密度が濃い
群生地だった。シカの寝床や新しい糞もあった。
   
   
   
   
次に南西に曲がる少し手前にツルウメモドキが木にまとわりついて実が沢山成っていた。
また尾根は北西に進む。南に折れる見出杭の直前の右手(北斜面)に真新しい林道の終点
があるのをMICKEYが見つけた。地形図にはない。

以前見た「傘峠・中山方面歩道入口」という道標もあるが、「歩道入り口って??」とMICKEY。
歩道とはどこをさすのだろう・・・。ウロが抜けてしまった立ち枯れ木があり、その穴の下には
スズメバチの古い巣がバラバラに落ちていた。熊が蜂蜜でも採ったのだろうか。
   
   
林道が右斜面へと離れていく。その周囲にはイワヒメワラビがぎっしりと群生。
「このあたりはちょっとややこしい尾根ね」「派生した尾根がいろいろあるからね」二人
とも何度も周囲の派生支尾根を観察しつつ、地形図とコンパスを確かめながら進んだ。

また尾根を北西に進むがずっと北側すぐに林道が並行して進んでいく。「林道を歩こうか
尾根筋を歩こうか・・・」といいつつ尾根筋を歩くことにした。
この尾根の南には林道が地形図にも並行にあるが、尾根筋の北側斜面沿いにも出来て
いるようだ。木々にペイント番号が記されているので研究調査中なのかもしれない。
   
   
   
尾根を南西に進み南へ進むとブナノキ峠だ。南に進む直前にラップを巻いた木が出現
しだした。NPO法人・芦生自然学校が2008年から2013年までやっている「マザーツリー
プロジェクト」の木だ。ナラガレの原因となるカシノナガキクイムシの侵入を防いでいる。

ブナノキ峠までの北尾根やその斜面にはこのプロジェクトのラップで巻かれた木が多い。
先日の台風で折れたのか、ボキッと折れた木もあればラップが剥がれている木もある。
山頂が近づくとMICKEYがどんどん先に行った。「僕はゆっくり登ります・・・。」
   
   
10:50
久しぶりのブナノキ峠 939.1m。もう昔の緑色の山頂札は無かった。
しかし、別の3つの札がある。
ここでランチタイムにする。人がいるかと思っていたが、だれもいない。
僕はラーメンとおにぎり、MICKEYはうどんとおにぎり。
「静かでイイネ。ここはいつも虫が多いけど、今日はいないな」ジンジャーティーでまったり。

無線機でAPRSを発信するも、長いロッドアンテナを持参していないのでよく飛ばない。
CQの声もなく静か。ラジオ電波もかすかにしか入らない山頂だ。勿論、携帯は圏外。

11:30 けやき坂に向かって出発。登って来た北尾根をしばらく下り、西北西の尾根に
入り、Ca846mの小ピークで北へと尾根を進む。Ca846mを下り出すとあの北斜面に並行
に走っていた林道と交差した。僕らが下って来た「ブナノキ峠」方面をさす道標がある。

「いい尾根道ね」とMICKEY。MICKEYはこの尾根道は初めてなのだ。尾根を北進する
と人の声。京大フィールド研のマークの入った腕章をつけた女性ガイドと数人の団体が
登って来た。その後ろにも男性ガイドと団体が続いていた。「こんにちは」と挨拶。
「バス1台くらいの人数なので、美山町自然文化村のガイドツアーだと思う」と僕。
   
   
   
12:00 
けやき坂。やはり美山町自然文化村のバスが停まっていた。ここで下車してブナノキ峠に
登ってランチタイムにするのかもしれない。
「静かなうちにランチタイムにして良かったね。」とMICKEY。「そうだな」と僕。

林道分岐を左に行きかけるMICKEY。「お~い、右、右。」と後ろから僕。
タニウツギの実やアシュウテンナンショウの実を観察しながら歩く。複数本ある。

青天橋の付近は右も左も滝が見える地点。なかなかの水量だ。ノリコの滝も見える。
ここからはもみじの紅葉も綺麗な林道で、気持ちがよい。

右手に水谷が見える。今、水質調査をされているとのことで、水谷の尾根からの下山を
やめるように研究林からの指示もあり、今回はけやき坂経由で尾根筋からの下山にした。
   
   
   
12:30
池ノ谷の出合。「池の谷天然林保育試験地」の看板。昭和59年4月の設置とある。
南側は「15林班 トチノキ平保存林」だ。ここから北東尾根に取り付く。昔はサワ谷出
合までの歩道があったが、今はほとんど使われていない。P803mまでは尾根筋を登る。
P803mとその南のピークの間の鞍部に出ればいいのだが、南のピークを経由して行く
ことにした。傾斜がきつくて古いシカの足跡に沿って登った。
   
   
   
そして少し戻りP803mへ北へと少し下る。この鞍部からそのままサワ谷へと入るか、
北西の次のピークへ行き、北の尾根から北東へとサワ谷へ入るか、その北尾根の東の沢沿
いに北へと進んでサワ谷へ入るか、このまま北東尾根をサワ谷出合まで進むかを考えた。
昔の道はサワ谷右岸だが、踏み跡は見つからない。簡単なのはこのまま北東尾根を進む事。

尾根筋よりも緩やかなサワ谷を歩けばミズナラなどの木が点在する気がするので、次の鞍部
で細い北向きの沢沿い左岸斜面を進み、サワ谷へと入ることにした。地形図でも広い沢筋だ。
左岸斜面のシカ道を進まず、北への枝沢内を進んだ方が楽だったと斜面上から見て思った。

よく考えると、今月30日と翌日実施の区画法によるシカの頭数調査の時もこの付近が範囲に
入っているので、僕も担当箇所をくまなく歩くことになる。シカとカモシカを調査する。
「うまくジグザクに歩いて双眼鏡を見ながら調査できるだろうか・・・」と僕。
「このあたりもシカの頭数調査をするのね。雪が降るかも知れないね。ご苦労様~」とMICKEY。
   
   
サワ谷に下りて沢沿いに進む。立派なトチノキやミズナラが点在する沢筋だ。
沢沿いの斜面は土色と言うより苔が土面を覆っていて緑色になっている。
   
13:55
サワ谷出合。前方に木道が見えた。左へ行けばABCプロジェクトのウツロ谷。
右へ行けば中山神社。ここはMICKEYも良く知っているので先に右へと進んで行った。
カメラを持った男性とすれ違った。中山神社で手を合わせて地蔵峠へと向かった。 
   
   
   
14:20
地蔵峠。お地蔵様に手を合わせ、車のデポ地へと向かう。朝は薄暗かった林道の植生も
観察しつつ歩く。左斜面の上部にリンドウが複数株咲いているのをMICKEYが見つけた。
「見ていないようで、僕よりいろんな所を観察しているんだなぁ。」と僕。
コマユミの実やナナカマドの紅葉を楽しみながら歩く。

仕事できつかった今週、気持ちの良い芦生の森の中を一日歩けて気分もリフレッシュ。
   
14:55
駐車地点。車が5台ほど停まっていた。テント泊していた朝の男性2人が「携帯を落とし
ませんでしたか」と問うてこられたので「いいえ、落としてませんよ」と返事した。

車で林道を下って行くと、空のマイクロバスが登って来た。迎えの車だろうか。
生杉のルネサンスの前には朝日新聞の旗をつけた観光バスが4~5台とまり、記念品を
積んだテーブルと受付が見えた。このあたりで何かイベントでもあったのだろうか。
バスの人達はどこに行ってるのだろうか。大勢で研究林内ではないだろうが・・・。

名神の桂川SAの売店では今日は全ての品が2割引らしい。
柿の葉寿司や品評会で1位になったという敦賀の鯖寿司なども2割引だ!。
息子も夜に帰省してくるので家族分買って帰路についた。

18時30分帰宅完了。25,140歩、3,378kcal、燃焼脂肪75.4gと歩数計が表示していた。
 本日のルート
 
   この1つ前は「【北摂】箕面大滝と猿軍団の今を歩く」の記録です