【芦生】小野子西谷からブナノ木峠(939.1m)


【行き先】 芦生・小野子西谷からブナノ木峠
【日 時】 2005年5月28日(土)
【メンバー】矢問 単独
【コース】 芦生・須後−小野子西谷−ブナノ木峠(939.1m)
      −小野子西谷の東尾根を下山−Ca793
      −西谷と東谷の出合へ下降−須後
シャワークライムはまだ寒そうなので、小野子西谷からブナノ木峠への旧道・沢筋を歩く。
ここは1999年の5月に妻恋地蔵さんに誘われたが都合で行けなかった宿題ルート。
そのときの記録は妻恋地蔵さん(広谷氏)の著書「低山趣味」にダンノ凡太郎さんとの同行記
として載っている。あれからもう6年も経ったのか・・・。

朝4時半に須後に着いたがすごい濃霧。道路の気温計は8℃を表示している。肌寒い。
駐車場には車は自車の他に無人の1台。パンを食べて様子を見ていると霧も晴れてきた。

5:10
何度か徒渉もするので沢靴を履いて行く。研究林の入林届けを記載して研究林へ入林。
近頃はこの仮届けさえも記さない入林者も増えているという。悲しい事実だ・・・。

タニウツギの咲き誇る斜面を過ぎて、小野子谷に入るところに鹿の白骨化。昨冬は大雪で
沢筋で鹿が沢山死んでると、先週に受講したの「芦生の自然を生かし守る会」のシンポジ
ウムでも学んだ。(その翌日22日の散策会で歩いた上谷にもオス鹿の死体があった)
立派なトチの木 沢の水は澄んでいる
以前遡行した小野子東谷と西谷の出合いを過ぎて西谷へ。
左岸に大トチ。右岸には岩を抱いてVの字の木。
左岸に大きな炭焼き窯あとがある。この沢筋は窯跡が点在する。
左岸の大きな炭焼き窯跡 沢はゴルジュとなる
右岸を歩いていると崖となり右岸を越えようと思ったが無理。沢へと下り左水際を通過。
ここからはゴルジュになる。沢に刺さる倒木を越えると沢は右へ曲がる。
「ううっ」深い淵がある。両岸とも立っている。「昔の人はどこを通ったのか???」
周囲を見てもよくわからない。「突破するしかないか・・」左のへつりを試みたが深い。
右を試みる。フリクションを効かせても滑りやすい壁面。手のホールドをしっかりつかみ
足場を探しつつ、何とか太ももまでの浸かりで突破できた。大きなアマゴがいた。
本日の第一の核心部だったといえる。水は実に冷たかったが美しかった。
第一の難関の深い淵 深い淵を通過し振り返って見る
素晴らしい緑のシャワー 鳥の声が多い沢筋
右斜面の枝沢の滝群 斜面にどっしりと生えるトチの木
右岸に立派なトチ。右の急斜面の枝沢には細いが50mは越える滝が落ちている。
沢は左へ曲がりしばらく行くとまた右へと曲がる。ミヤマヨメナ?の白い花が咲いている。
両岸に立派なトチの木。
二俣の大きなトチの木
7:15
二俣。ここにも立派なトチの木がある。朝日が入ってきてまぶしい。
妻恋地蔵さんはこのまま北北東の左沢筋へ行かれた様だが、今日は西への右俣をとる。
二俣の出合いの登りやすそうな尾根を北東に登りそのままブナノ木峠へ登るルートも考え
たが、今回は昔のブナノ木峠への道とされたルートを忠実に登りたく西の右俣へ進む。
左岸には大きな木が点在しているが、林床は鹿害で笹もなく明るい。
奥の二俣・左俣のカツラ 立派なトチの木
7:25
両岸に大きなトチの木がありその奥が奥の二俣。右俣でぐるっと南へ回り込む方が地形図
的には楽そうだが、ブナノ木峠への昔の直登ルートではなくなる。水量の少ない左俣へ。
ガレた左岸を登り進む。右岸に立派なカツラの大木とその横にトチの大木がある。
鹿の白骨体があった。今日2つめだ・・・。
黒い岩肌の壁が出現 林道のコンクリート壁が見えた
「ううっ」黒い岩の壁だ。岩肌の水量は少ないが、どこから昔は登ったのやら・・。
左から巻こうと試みたが、嫌いな傾斜でズルズルと岩屑の斜面が崩れる。やり直し。
一旦右から登り、段になっているところで慎重に左へ移り岩場を登る作戦にしたが、その
岩場の足場がみぞおちあたり・・体が硬いために足がどうしてもそこまで上がらず、手の
ホールドを探しバランスでズリ登った。今日、第二の核心部だった。
岩屑が増えてくる。「林道工事での岩屑の様だな」と考えていると林道の壁が見えた。

8:10
林道の壁際の右を登り、林道に出た。林道に分断された沢筋の先を見てアゼン・・・。
壁に近い黒い湿った岩肌。右から登り水のもうない沢筋の凹んだ部分をひたすら進む。
見なれた山頂の木が見えてきた。もうすぐなんだが傾斜がきつい。やや右へと逃げた。
ブナノ木峠 山頂 ブナの新緑
8:30
ブナノ木峠。今日はゆっくりゆっくり歩いて来たが、えらく早く着いたものだ。
良い天気だが虫が多い。虫除けスプレーを服の上からかけて、朝食にした。
「ガサガサ」という音がしてどきりとした。熊よけ鈴を鳴らす。
山頂札の裏には、2週間前に経ケ岳でみた山頂札の書体と同じ字で「2004年10月
31日・京都北山ウォーク・By Asano」とある。京都北山の山頂をめぐり歩いてつけて
おられるのかもしれない。

気持ちの良い涼しい風が吹く。ブナの緑も綺麗だ。西側の展望のみだが気持ち良い。
沢靴からウォーキングシューズに履き替えた。
立派な姿だ どっしりとしたアシウスギ
8:55
下山開始。尾根沿いにイワカガミの咲く尾根をまず南へ進みアシウスギのところから南東へ
進み、次に南西への尾根を進むと林道の三叉路に飛び出た(9:20)
雪圧にも耐えて数百年 林道終点まで南西へ
その南西にのびる林道を終点まで進み、斜面を南南西によじ登る。真新しい熊の足跡!。
広い台地状の尾根となる。折れた台杉のところから南西尾根に乗る。
台風で折れたのかな 木が巻き付いてる
人が歩いていないようで北風で南向きに根から倒れた倒木や折れた枝で歩きにくいとこ
ろが点在する。
Ca793へと下り始めるとシャクナゲの群生地になる。Ca793の大杉の所を過ぎても
しばらくはシャクナゲの群生地が続く。シャクナゲが多くて地形の起伏がやや読み取りに
くい。コンパスと地形図で何度も確認する。
力こぶを見せているような大杉 この斜面を下りきれば出合だ

腕を曲げて力こぶを見せているような大杉を過ぎてしばらくすると尾根は西へと延びる。
なだらかな西への尾根をどこから南西に下るか模索しつつ進み、傾斜はきついものの下り
やすそうな斜面を下った。
出合いのやや東谷よりに下る。沢が見えたときと同時に釣り人のような男性1名も見えて、
上から聞こえる僕の熊よけ鈴の音に気づき下から大きな声で「こんにちは」と笑顔で挨拶
が飛んできた。今日初めて人と出会う。クマでなくて良かった。

11:00
出合いに出た。今日3つめの鹿の白骨化があった。
挨拶の声の主の釣りのおじさん「どこから来たのですか。ああ、ブナノ木峠からですか。
こんなに早く。こんなところに道があるのですか?」と聞かれ会話。今朝、僕がへつって
通過した小野子西谷の深い淵にはやはりアマゴの大物がいてしとめたことがあるという。
また徒渉があるので沢靴に履き替えて、朝通ってきた沢筋をのんびりと戻った。

11:25
研究林の事務所付近で5名のハイカーとすれ違う。入林届けに下山時間を記す。
増えたページからみて朝からの入林者は多いようだ。駐車場へ行くと、満車になっていた。
シンポジウムでお世話になった牧田さんがナメコ組合の所で見えたので車の中から会釈。

予定より早い下山となり、ザックの中の昼食は帰路に車中で食べることにした。
朝8℃だった道路の気温表示は22℃になっていた。

本日のルート:小野子西谷からブナノ木峠
この1つ前の記録は「京都北山・新緑の三国岳と経ケ岳」の記録です