【鳥取】三徳山 投入堂と三角点


【行き先】鳥取県・三徳山 投入堂と三角点
【日 付】2005年11月5日(土) 
【コース】@三徳山三佛寺本堂−観音堂−三佛寺奥の院・投入堂(470m)
      A成集落−Ca642−三徳山北尾根−三徳山・三角点(899.7m)
【メンバー】MICKEY、矢問
数年前から「行きたい」とあたためていた「三徳山三佛寺・投入堂」。山陰屈指の古刹だ。
蔵王権現を祀り奈良吉野山、兵庫三川山、そしてこの鳥取三徳山が日本三大権現という。

寺伝によれば、修験道の祖・役の行者(役小角)が3枚の蓮の花びらを散らし、仏縁の地を
もとめ、その1枚が三徳山に舞い落ちたため、この地に行場が開かれたという。
後の849年に慈覚大師円仁が、釈迦・阿弥陀・大日如来の三尊を安置し三徳山三佛寺と
称し、国宝・重文クラスの仏教建築が点在する山内は、全域が国の史跡・名勝に指定され
ている。世界遺産への実現運動も熱心にされている。そうなる前に行っておきたい。
天気予報も「晴天」なので朝3時過ぎに鳥取に向かって出発した。

@三徳山・三佛寺投入堂
6:30
駐車場には1台も車がない。「本当に有名なの?本当に人気があるの?」とMICKEY。
「帰る頃の時間にはびっくりすると思うよ」と僕。
投入堂までの登山は受付が朝8時からだし、すぐ先の道沿いの展望所まで車で行って設置
されている望遠鏡で投入堂をMICKEYに見せた。「すごいところに建ってる!!」
望遠鏡での投入堂遠望 三徳山園路
7:00
駐車場から寺門の階段に向かうと地元の人が「階段まで行かなくてもこの三徳山園路の
坂を行けばいいですよ」と教えてくださる。受付はやはり8時からとある。本堂まで400円で
その先の投入堂までの登山は200円とある。参道をお掃除している女性に聞くと、
「まだ早いので上の寺で聞いてみてください」とのこと。上でまとめて支払うことにして
本堂へと参道を進んだ。宿坊などがある。本堂では一部紅葉が始まっていた。人の気配が
全くなく静かだ。投入堂への受付も8時からとある。境内を散策しながら待つことにした。
本堂そばからはるか上に地蔵堂が見える。
本堂 投入堂への登山口
8:10
8時をやや過ぎて、下から宝物殿など順次解錠して歩いてきた男性が上がってきたので受
付をしていただいた。本堂までの料金も合わせて支払う。
輪袈裟をもらって首にかける。下山時に返す。ここからは飲食禁止、喫煙禁止、修験の道。
さらに自然保護でストックも禁止でザックにしまう。峰入りへの道を解錠していただき、
いざ投入堂へ。
静かな登り道 根をつかんで登る
朱塗りの橋の右手にはきれいな苔の多い沢が入っている。杉の大木の横を通り役行者の
横を右へ進み木の根をつかみながらの登りになる。かずら坂。また杉の巨木が数本。
立派な杉の木ね〜 粘土質の土の滑る登りが続く
「すごい道ね」滑りやすい堅い粘土質の道。木の根つかみ登りが続く。ルートは2つほど
あるのでMICKEYは左へ僕は右へと好きなルートで登った。
下りは滑りやすそう・・・ あたりは色づき始めた
くさり坂を僕は登りMICKEYは右の虎ロープルートで巻いた。文殊堂はまだ工事中で
左を通過する。このあたりから紅葉は素晴らしくなってくる。「綺麗ねぇ」「静かだなぁ」
ここからの展望もいいよ 秋色ですね〜
地蔵堂からの対面の山の姿は素晴らしい。鐘撞堂の下をくぐり右から回ると馬の背、牛の
背といわれる岩の上を通る。MICKEYがどんどん先へと進み見えなくなった。
雨が降ると滑るだろうね 「お〜ぃ、ゆっくり行こうよ」 観音堂
納経堂を過ぎると観音堂。その手前から尾根に取り付くと三角点へも行けるのでは、と
思っていたが、虎ロープを張って「立ち入り禁止」とあった。やはりこの尾根は無理か・・・。
観音堂は岩をくりぬいて建ててありその裏手の暗闇を通過する。素晴らしい。
投入堂 秋色の展望
8:45
観音堂を右へと回り込むと、「すごい!投入堂に着いたよ」とMICKEYが歓声を上げている。
古くは蔵王堂とも呼ばれたこの建物は標高470mの断崖絶壁に懸崖作りで築かれ、
見る者の目を釘付けにするように鎮座する。開山の役行者が麓で組み上げ、法力で崖のく
ぼみに投げ入れた、という由来説話が素直に頷けるような不思議な情景だ。写真家の土門
拳が「我が国で最も美しい木造建造物」と絶賛したというのもまたまた頷ける。
「見られて良かったね。ホントに素晴らしいね。誰もいない静かな時間に見られて最高」
「本当にどんな方法で建築したのだろうか・・」写真を何十枚も撮って下山にかかった。
下りは慎重に 素晴らしい投入堂登山も終了
地蔵堂のあたりから下から登ってる人とすれ違い始めた。本堂に着くと多くの人。
宝物殿に入っていろいろな物を見た。修験道の修行の写真や、着物姿の女性男性の投入堂前
での古い時代の写真、雪の頃や新緑の頃の写真もあり感動した。
9:10
下山届けに記帳し輪袈裟を返却する。
下の受付では靴のチェックで登山を断られている人も。駐車場は満杯になっていた。

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A三徳山・山頂三角点(899.7m)
三徳山は、ブナや杉の巨木が林立し、桜やシャクナゲ、紅葉の名所としても知られている
が、三角点までのルートは整備されてないという。
囲炉裏のしぇるぱさんの今年6月の記録も参考にして、南から北西からなど、いろいろな
ルートを地形図で昨夜も検討したが、地元の人に伺うのが一番。旧道があるかも。

 投入堂への納金200円を支払う受付のお兄さんに山頂へのルートを伺うと「カンノクラ
(しぇるぱさんの目指した南からの神倉ルートかな?)の屏風岩のほうから山頂への話しを
聞いたことがあるが、フリークライミングのようなルートでそれなりの覚悟がいるらしい。
そこから山頂へは全く整備されていませんよ。覚悟が相当要りますよ」とのこと。
 三佛寺前のお店の年配の奥様2人に伺うと、「昔は山むこうの集落へ抜けた道があった
けど、いまはだれも通らないし、どこかは忘れたわ。三角点って何?」と。

西へ1.5Kmほど行った合谷の集落に南に延びる林道が300mほど地形図にあるので確
かめに行ったがわさび田とのことで先への進入には許可がいるとの看板があり、やめた。

10:45
矢:「投入堂までの途中からの尾根へのルートが立ち入り禁止になっていなかったらあの
  ルートが一番良かったのにね・・・少し東の成の集落からの尾根を登って北尾根に合
  流するルートをとってみようかと思う」
M:「地形図の等高線の詰まり方だと痩せ尾根続きで岩尾根もあるのでは?」
矢:「痩せ尾根は覚悟。行けるところまで行ってみよう。シャクナゲがじゃまするかも(^^;)」

成の集落手前の尾根から行けるところまで、と目指してみた。山に入ると左手に墓場があ
るがそこへは入らずに尾根へとりついた。膝くらいの草の斜面。なんとか登れるが雑木が
うるさい。左が切れている痩せ尾根に大きなテレビのアンテナが無惨な姿で倒れている。
笹藪はいつまで続くの〜 疲れたら上を見よう!
全く踏み跡もない藪の多い尾根だ。「ホントに進んでいけるかな・・」途中で右の植林帯
への踏み跡。尾根の右手を巻くのかなと進むと壁で行き止まり。左斜面を登りもとの尾根
を進むことにした。痩せ尾根ではシャクナゲに邪魔され、しゃがんだり巻いたりの繰り返
しが続く。痩せ尾根一杯の岩斜面では右を巻いたり左を巻いたりと滑落に気をつけて尾根
にまた乗りつつ通過。笹も背丈と同じくらいになりあきらめかけたら上を見上げると素晴
らしい紅葉だ。素晴らしい青空も隙間に見える。「下ばかり見てないで周囲も楽しもう」
まだ半分も来てないね 尾根筋をはずさないように
Ca642の手前がすごい急斜面の上にシャクナゲ地獄。右へ右へと滑落に注意して回り込む。
「これ・・・帰りは通過できるかな(^^;)」「帰りもここが核心部になりそうね(^^;)」

11:50
Ca642はコブのようになっていて、ここを過ぎるとやや下りになり、広い草の無い鹿の足跡
だらけの所になる。「鹿の巣かもしれないね」
あと300mm南西に進めば北尾根に合流できる地点まで来られた! ふぅ〜。
斜面を登り出すと「ブーン」・・・「スズメバチだ! ゆっくり離れろ!」とMICKEYに
伝える。尾根に出た!地面に7センチ角くらいのコンクリート柱が1つ打ってある。
期待していた踏み跡は無かった・・・。身長同等の笹をかき分けていく。
笹でMICKEYが見えない(^^;) 立派よね! 葉はいい色になってるね
ブナやすごい巨木が点在している。疲れたら上を見て紅葉で一息つき、南へ南へ。
「うわっ、赤テープがある。」初めてのテープ。やはり誰かが通ったことがあるようだ。
まだ先は長いね〜 うわっ、赤テープ!
しばらく行くとまた赤テープ。この2つ以外無かったが・・・。
しばらくは踏み跡らしきところがあったが古いものには違いない。

12:35
西へ行くとP824に続く東西尾根との分岐。ここの地面には先ほどよりやや大きな10セ
ンチ角くらいのコンクリート柱が1つ打ってある。「帰路はここを右へ行かないと。周囲
の木々を覚えておこう。」と、南東へと進路をとる。笹はどんどん濃くなる。
東へと尾根が変わり始める。「このあたりだけどなぁ・・・。この先は下りに入るし」
二人で手分けして笹をかき分けかき分け探す。
もうすぐ山頂のはず・・・ 三徳山の「三角点」発見!
12:50
「三角点、見つけたよ〜!」とMICKEYの声が笹の中から聞こえた。
「良く見つけたなぁ!」「古い白紐が木にかかっていて下をかき分けたらあった(^^)v」
上を見ると上空から三角点を特定する朽ちた古い三角形の木もくくりつけてあった。
「やったなぁ!山頂に間違いない。展望は無いけど最高の気分!」と上を見上げて紅葉を
楽しみながら遅い昼食にした。
上空から三角点の位置を示す さて下山・・・また道無き道へ
下山にかかった。「少しでも楽なように三佛寺への尾根に進もうよ」というMICKEYだが、
きっとあの立ち入り禁止の所に出るし、寺にも失礼だから来た尾根を下ることにした。
Ca642への鹿の巣の所へ下るのに少し行き過ぎて右へ右へトラバース気味に。「あった」
そこからCa642へのルート取りにやや手間取ったが何とか見つけた。
綺麗な秋色とも「さようなら」 ブナの紅葉にも「さようなら」
Ca642を慎重に左から回り込む。「崖だよ」とMICKEY「いやこれがあの難航した斜面。
しっかり木をつかんで滑落に注意して右へ右へ行くと尾根に乗れるはず」と進む。
それをやっと下り進むとまた崖。「こんな所、来たっけ?」とMICKEY。「ここはMICKEY
が先行して斜面をはい上がった岩場。右に逃げてバンドを進む」と先に僕が下る。
「ホントだ、この岩覚えてる。良く覚えてるね」「忘れたら帰られないし(^^;)」
「登りは登れても下りは苦労する尾根よね」「整備されていないから仕方ないよ」

シャクナゲや倒木の尾根をしゃがんだり越えたりしていて二人とも太ももの裏が悲鳴を
上げだした。「う〜ん・・攣りそう」と時々立ち止まる。腕も太ももも酷使の尾根ルート。

14:50
笹や藪に刺されてズボンにも穴がこれまた二人とも2カ所。頭には蜘蛛の巣(^^;)
アンテナの捨ててあった尾根に到着。右はるか下には道と車が見えだした。
あと少しなのにここからの尾根筋も木々がうるさい。よけたり越えたり・・・。

15:00
下山完了。道路に出た。二人で満足の握手。
コンパスと地形図、GPS(木に囲まれ測地不可点が多い)はフル稼働だった。

さて、すぐそば帰路途中の三朝温泉で汗を流すことにした。
三佛寺前には観光バスが4台も停まっており、路上も自家用車駐車で一杯だった。
「ホントにすごい人気のお寺と信じるわ。朝一番で誰もいない静かな素晴らしい投入堂を
見られて良かったわ〜(^^)」とMICKEY。三角点にも行き着けたし大満足。
 三朝温泉は20年以上ぶり。日帰り入浴は一人500円でゆっくりつかり帰路についた。
温泉も道路も混んでいない時間帯で、天気も晴天、紅葉一杯で良い一日だった。
本日の登山ルート  @投入堂   A山頂・三角点
この1つ前の記録は「京都西山・ポンポン山」の記録です