【若狭】甲森谷から庄部谷山

トチとカツラのワンダーランド


【山 域】 若狭:甲森谷から庄部谷山
【日 時】 2009年5月23日(土)前夜泊
【コース】 新庄−横谷川−甲森谷−Ca860m峰−庄部谷山856.1m
      −北尾根−林道終点−横谷川・林道駐車地点
【メンバー】山日和・柳川洞吹・グー・たんぽぽ・秋狸・biwaco・ふ〜さん
       バーチャリ・Kasaya・oku・矢問 計11名
      ( 大阪2名、兵庫1名、滋賀1名、三重3名、福井1名、岐阜1名、
        愛知2名 の混成パーティー )
福井県のベルクラ山の会の会長である瓜生氏のご厚意で分けていただいた、今はもう在庫
がなく入手不可能となった「越の谷」や「嶺南の谷・耳川水系編」という沢筋の本を見ていて、
今年の「沢はじめ」は福井県三方郡美浜町新庄の庄部谷山への沢筋から始めようと思って
いたら、同じ著書を持っている山日和さんが、やぶこぎネットで「トチとカツラのワンダーランド
・甲森谷から庄部谷山への公開オフ」のアナウンスをアップされた。
何というグッドタイミング!即座に「行きます〜」と挙手。

あっという間に11人のパーティーになり、山日和さんもあわてて即日締め切りに。
7府県11名の混成。初めてお会いするのはbiwacoさんとokuさんの2人。

庄部谷山へは07年の10月に、南側から山頂へ登った。今回は北からの周遊ルート。
いつものように名田庄を経由して小浜へ抜ける地道ルートで前夜22時30分着。

朝4時過ぎに起き朝食をとり、釣り人を見に海岸線を歩くとハマヒルガオが沢山ある。
6時過ぎにすぐ近くにいた山日和さん達と合流し、7時の集合場所へ移動。
林道手前で車を減らすべく11人を4台の車に分乗して、横谷川沿いの林道へと進む。

7:40
沢筋歩きなので、沢靴を履く者10名と、「今回のルートならスニーカーで行きます」と
この山域を良く知る最年少のokuさん1名の計11名のイレブンが出発。
「今日のリーダーは山日和さんでサブは洞吹さんだな」と勝手に理解しつつ、しばらくは
横谷川の左岸林道を歩く。
耳川発電所に通じる水路 右に広い伐採斜面
この水系のアマゴ・イワナ・ヤマメの解禁は2月から9月まで。魚影はあるかも興味津々。
耳川発電所に通じる水路の石組みを右手に見ながら進むと、右に広い伐採斜面が現れた。
「去年来たときに伐採されていてびっくりしたよ」と洞吹さん。
巡視路の吊り橋を渡る 上渡る人、下徒渉する人
8:00
林道終点。ここからも左岸に踏み跡はあり、関電巡視路が続く。
沢沿いにはタニウツギが沢山咲いている。敦賀保線所が管理する巡視路の吊り橋を渡り、
右岸を進む。そして徒渉したり橋を渡ったりはしごを登ったりしつつ、横山川の左岸や右岸
沿いに東へと進む。
またまた橋を渡る 右俣・甲森谷へ入る
8:45
二俣を甲森谷へとやや細い右俣に入る。ここからトチやカツラの木が点在するとともに
炭焼き窯跡も点在する。
9:50
炭焼き窯跡の横に立派なカツラの木がある所で休憩し、写真タイム。
白谷出合を過ぎて開けてくるとトチやカツラの大木がドンドン出てくる。
こんなにカツラの大木が沢山ある沢筋は初めてだ。素晴らしき桂の巨木の森!
今日のオフのタイトルの「トチとカツラのワンダーランド」である。
大産岩室と3条5mの滝 右の水線を登る山日和さん
頑張って登る後続 「行くぞ〜」とたんぽぽさん
10:30
右にロクロビ谷そしてサルハシ谷を見ながら岩尾谷を過ぎると「大産岩室」に着く。
その左手には3条5mの滝がかかり、右の流れを山日和さんが登り、僕もそれに続いた。
最後の左への岩への乗り込みが滑りやすく指が少しかかるのみで、後続には山日和さんが
お助けロープを出した。今日のメンバーで共に沢登りに行ったことのあるのは山日和さん
と洞吹さんのみ。あとのメンバーの沢の経験値や登れる力量がわからない。まして、今日
は「沢筋歩き」という山日和さんの言葉を半分?信じて、ロープ、ハーネスやヘルメット、
ロープマンなどは車に置いてきた。そういう装備と状態から山日和リーダーの的確な判断
で「安全第一」に、滑って振られたりしても頭を打たない、滑って落ちても強打しない傾斜の
小滝のみを登るにとどめ「プチ沢登り」も楽しもうという趣向。

沢靴での立ち込みに慣れていないメンバーもいてなかなか時間がかかっている様子。
横には右の岩のへこみ部を登ってくるbiwacoさんやグーさん。そして洞吹さんとスニー
カーのokuさんは早々と右を巻いてきた。全員無事通過。
癒しの谷は続く グーさん止めの滝
次の二段の滝ではシャワーで登ると登れそうな岩肌で、ヘルメットをしていて、シャワー
にも良い気温なら躊躇無く行く滝だが、今日は寒い気温なので山日和さんに続き早々と
左から巻く。
「グーさん、シャワーで登りたかったら上からロープ出すよ」と半分冗談で言うと登り始めたが
登りやすい右の沢筋に進まず、左のハングした難しい側へと登っていく。
「グーさん、そっちに行くと手詰まりになるよ!」と言うもリーチの長いグーさんはかまわず
「行けると思うよ」と左へのルート取り・・・。「絶対無理だ・・・」やはり手詰まりとなる。

その地点から下りるのは危険。山日和さんのサポートで、左へと岩を抱きつつ横へと逃げ
て難を逃れた。沢登りでは1手も2手も先を見極めつつ登らないと身動きがとれなくなる。
グーさんもまだまだ沢登りをするにはルート読みの修行が必要なレベルの様子・・・。
安易に声をかけ乗せてしまったことを僕も猛反省。無事で良かった・・・。

「本当に当初の予定の急な斜面を稜線まで登るの?できるだけ沢筋を詰めて最後に尾根に
逃げようよ」とグーさん。「どこの沢筋を進みたいの?」というと「このまままっすぐ行こうよ」と。
「この先、森水谷を詰めるとCa852mのピークだから、庄部谷山が遠いよ」と言うと「それなら
この右の谷にしましょ」とグーさん。
「入り口に二段8mの滝を持つトタテ谷だな」と僕。「まっ、エエけどね〜」と滝を見て沢登り
モードにちょっとスイッチの入った山日和さん。はてさて、みんなが乗り越せる滝かどうか・・。
トタテ谷・二段8mの滝
山日和さんが一段目を登り僕もそれに続いた。二段目の偵察。水際の岩はめちゃくちゃ
ぬめっていて滑る。「山日和さん、これはきっとこの右手の岩場を登って左に落ち口に行く
のがルートと思う」と僕が登って偵察。
指のかかりが下から見たとおり逆層で小さいものの、ムーブをうまくしたら3手で登れる。
山日和さんも洞吹さんも当然登り切れるレベルの岩場だと読めるが、後続のメンバーの力
量が皆目わからないし、ロープを必要なメンバーにも振られないようにランニングビレー
をかける所が見あたらない。
「山日和さん、今日のメンバーで安全第一主義で行くならここはやめた方が無難と思うよ」
「よし、やめよう」と決定。
(帰宅して瓜生氏の本を見ると、トタテ谷の溯行でのこの滝の通過はやはりこの岩場登り
で落ち口に行くルートだった)

続いて後ろから登ってきてたバーチャリさんを先に降ろすために山日和さんがサポート。
僕も少しの足のかかりで岩場を登ったので、下りるときはシダの葉が邪魔して足場が全く
見えない。山日和さんに足場の指示をお願いして岩場から下りた。

滝下に行くと、2〜3名が見あたらない。巻くつもりか、左の斜面を登って行ったと言う。
笛や大声で「戻れ〜」と叫ぶ。みんなそろったところで洞吹さんから「リーダーの指示が
無い限り勝手な行動はしないようにしよう。みんな安全に行くためにも守って欲しい」と
注意が飛ぶ。安全のために言うべき事はビシッと言う。流石、洞吹さん。見習わねば!。
それ行けドンドン! シャクナゲジャングル開始
11:25
スニーカーで通すokuさん以外は、沢靴から登山靴に履き替えてトタテ谷の右の急斜面を
山日和さんをトップに、登りを開始。
「矢問さん、尾根登りが始まると暑くなってダウンするんと違う?」とグーさん。
「今日はうす曇りだし気温も低いので、全く心配ないよ」と僕。
シャクナゲジャングルの急斜面地帯もあり、モンキークライム。
斜面には立派なブナが点在してる
腕も使う登山は、山日和さんのオフでは織り込み済み。長い登りが始まった。斜面には
立派なブナも点在している。「まだまだ〜?」とグーさん。「もうちょっと」と山日和さん。
そのやりとりが何度も続く。その都度「今のトーンは、まだまだ長い、と言う意味」と
山日和辞書で僕が変換して解説。やっと「本当の、もうちょっと、というトーン」になる。
後半は若きokuさんがぐんぐんピッチを上げて登っていき、僕がそれに続いた。
ランチタイム 気持ちの良いブナ林レストラン
12:35
Ca860m峰。僕を心配してくれていたグーさんが「あかん、山日和オフは体力の限界や。
シンドイ〜」とヘロヘロになりつつラストで登ってきた。

ブナに囲まれた最高の場所でのランチタイムとなった。庄部谷山より標高は高い無名峰。
(瓜生氏の著書の地図では「黒谷の頭」というのがここにあたるのかも)
2年前の秋も綺麗だったこの場所に、その時は無かったピンクのテープがやたら目に付く。
「風力発電の風車を作る調査らしい」と山日和さん情報。「えっ、するとこの素晴らしい
ブナ林は事業がもし決定したら消滅してしまうと言うこと?そんな・・・・」と僕。

okuさんのザックからスイカがまるまる出てきた。「みなさん食べてください」と切って
くれた。「実に甘くておいしい!」さらに「へしこもよかったらどうぞ」とみんんなに振
る舞ってくれた。

昼寝がしたくなるようなブナ林の木陰。新緑の淡い緑色の光が気持ちよいし、さわやかな
風も実に心地よい。「風車が出来るとこのブナ林は無くなってしまう・・・」

13:50
庄部谷山へ出発。「いいわ〜。素晴らしいわ〜」と感嘆の声を上げているバーチャリさん。
「え〜、また登りがあるの〜。勘弁してよ〜」と文句を言ってるグーさん。
鳥の声が聞こえると鳥の名の説明をしてくれるたんぽぽさん。
木の葉で木の説明をしてくれる秋狸さん。
みんな多才なメンバーでブナ林歩きも楽しさ倍増。
さて、庄部谷山へ向かおう 庄部谷山 856.1m
14:10
庄部谷山。856.1m。みんなで記念写真。
当初の山日和さんの予定では北西の尾根を下る予定だったが、「予定変更。北に進んで
Ca772mを通り、そこから北西に進路を取り鉄塔から巡視路で林道終点に出る」とのこと。
下山開始 立派なブナが多い
「えっ、予定変更するの〜?」とグーさん。「予定通りの予定変更が山日和辞書」と僕。
これがなかなか素晴らしい尾根で、立派な良い形をしたブナが点在する。
どんどん傾斜がきつくなってくるが、つかめる灌木が多いので心配ない。
急な下りが続く 沢登りで登った雲谷山が見える
15:20
鉄塔。なかなか展望がよい。その分、太陽が照りつけて暑い!
西側を見ると、05年の5月にMICKEYと沢登りで登った雲谷山が見える。
山日和さんとともにドンドン加速して下る。途中で木で足を取られ豪快にひっくり返った。

15:40
朝通った巡視路に出た。「巡視路に出たよ〜」と後続に伝える。
「やっと着いたの〜ホッ」と一番後ろからグーさんの声。「うわ〜っ」最後に斜面で尻餅
をついたようだ。「大変だ〜、おしりが二つに割れたよ〜」と大声を出している。
巡視路を左に進めば直ぐに林道終点。
とっちゃんからの差し入れ玉手箱
16:00
駐車地点。「闇下の山日和さんにしては日がまだ高い時間での下山完結ですね」と笑う。
「おや?僕の車の横にある段ボール箱は朝には無かったのに・・」と近づくと
とっちゃんからの差し入れだった。人数分の飲み物と氷で冷えたフルーツ類だ。
当初参加予定だったのに用事が出来て参加できなくなったとっちゃん。遠いのに・・・。
手紙の時間を見るとほんの少し前。山日和さんが電話すると通じて海岸でハマヒルガオを
見ているという。みんなで海岸まで行って、とっちゃんとご対面。差し入れのお礼を言った。

トチとカツラのワンダーランド+プチ沢登り+ブナ林レストラン+激下りと満腹の一日。
山日和さん、そして愉快で楽しいイレブンのみなさんありがとうございました!
今日の歩数は、19,026歩。

27号線を西進するのは僕とokuさんのみ。あとはみんな敦賀方面の温泉へと出発。
僕は小麦畑の色を楽しみつつ、三方の「きららの湯」で汗を流し帰路についた。

「久しぶりにタイガースが勝ったよ。気をつけて帰って」とMICKEYからメールが来た。
本日のルート
この1つ前の記録は「【京都西山】クリンソウの愛宕山とシャクナゲの竜ヶ岳」です