極寒の上高地 


【山 行 日】平成12年 2月11日(祝)〜12日(土)
【行 き 先】上高地(1500m)・小梨平
【メンバー】僕(矢問)と息子(ナイトン)
【天  候】11日:曇り小雪・12日:晴天
【地  図】エアリアマップ「上高地・槍・穂高」
入試も終わって、暇そうなナイトンが「極寒の上高地に行こう」と。
夏しか経験ないし、雪の上高地の絶景も見てみたいと思っていたところ。
インターネットで上高地を調べると、昼間でもマイナス25度。凄い!
天気は良さそう。「よっしゃ、極寒用のシュラフとシュラフカバーの併用で行こう。」
ナイトンは、防寒具も靴も僕と併用できるまで成長した。
次男と妻は風邪気味で留守番。

10日21時出発。名神高速は滋賀で積雪があった程度。ナイトンといろいろ
しゃべってて、午前3時、冬景色の沢渡を見過ごして、釜トンネルまで来てしまった。
沢渡から釜トンネルまでは雪も凍結もあり怖い。道はマイナス13度表示(;_;)。
5キロほどUターンして、沢渡のタクシー乗り場で7時まで仮眠。
朝食を食べていると「乗りますか」と運転手。「ゆっくり用意したらいいですよ」とやさ
しい。ワイパーを立てて、鍵穴にテープを貼って、サイドブレーキをはずし、ギアをパ
ーキングにして、帰宅時の凍結防止。別の2人組と相乗り割り勘で釜トンネル入り
口へ。昨夜は晴天で満天の星だったが、少し曇ってる。天気回復してくれよ〜。
いよいよトンネルだよ〜 トンネル入り口の様子
8:10 冬季閉鎖中の釜トンネル入り口は思ったより人が多い。
冬山装備の点検を済ませて、真っ暗のトンネルへ。
工事車両が入るためか、真っ暗なのは15分ほど。後は明かりがついている。
方向のわからない真っ暗さ、つららの壁、凍結のトンネル。
夏に奥穂高や北穂高に来たときはココをバスで通ったのだ。
巨大な「つらら」だぁ
僕は20キロ、ナイトンは12キロの荷物を担ぎながらワクワクしている。
8:40 登り坂の釜トンネルを抜けた。もう暑くて服を脱いだ。
うわぁ、銀世界。クロスカントリーのグループも多い。大正池までは緩やかな登りが
続く。ナイトンもしっかりした足どり。太兵衛平で冬の焼岳(2455m)を見て感動。
冬の姿は違う!写真よりズッと迫力!

9:40
 大正池。スノーシューの講習も行われている。池は半分以上凍っている。
ビューポイントまでは膝まで雪。
コンパクトカメラの可動温度はマイナス10度まで。一眼レフはマイナス20度まで。
どちらも電池を温めながら使わないと動かない。コンパクトカメラはなかなか動かない。
一眼レフがまだマシに動いてくれる。

10:10
 トラロープを張って冬季閉鎖してある帝国ホテル前を通過してもくもくと歩く。
雪が少しきつくなってきた。ナイトンより僕が寝不足でバテぎみ。
バスターミナルも雪まみれ
10:20 上高地バスターミナルに到着。凄い積雪で、夏の景色とは全く違う。
軒下でテントを張ってるクロカングループが食事をしているのを見て、ナイトンが急に
バテてしまう。食べ物に弱いヤツ(^^;) しばらく休憩。
まだまだ防風壁積むの〜(^^;) 40センチは直ぐ積もる
10:40 明神まで行くつもりだったのに、「ここにしよ〜」とバテたナイトン。
先月、囲炉裏の面々もテント泊した小梨平。夏のキャンプ場も、腰まで雪。
ワカンを履いても膝まで沈む新雪。冬季トイレから20メートル位のかまど横に適場を
見つける。積雪は1メートルほど。二人してテント大に雪踏み。
雪場でのペグの仕方や、雪場でのロープのくくり方を教えて、テントを張る。
夜間の暴風対策にテント周囲に雪の壁を積み上げる。コレが重労働。
顔が痛いくらい寒いのに体は暑い。手袋を脱ぐと一瞬で真っ赤になり、爪は紫色になる。
水も一瞬で凍る。「極寒の驚異」と感心しているナイトン。ま、なんでも経験(^^;)。

13:00
 「腹ぺこだ〜。直ぐ出来るラーメンにしよ」「フフフ、水作りに時間がかかるのじゃ」と
雪からの水作りを教える。どんなに綺麗に見える新雪でも、溶けると砂やほこりが出てくる。
それをキッチンペーパーで濾して作った。
午後からはだんだん人が入ってきて、テントも7張り位になった。
関東方面からの人たちと色んな会話をして情報交換。

18:00
 お菓子の食べ過ぎで、夕食もそこそこに2人とも疲れが出て、「もう寝よか〜」と。
テント内で息を「ハァー」とするとすぐ凍り、ヘッドランプの光りにキラキラッと光る。
「テント内でダイヤモンドダストかいな」と笑う。
夜中は予想通り、直ぐ横に新幹線でも通っているのかと思うぐらいの暴風と音。

       ****************************

5:00 小鳥のさえずりで目が覚めた。そばに寄っても逃げない。
真っ青な晴天!\(^o^)/
雪から水を作って、おでんやらうどんやらを作り、ナイトンを起こす。テントの中は吐いた息
の蒸気が凍ってバリバリ。シュラフカバーの外側もマットも薄い氷状に張っている。
トイレまで2人で膝までの深さに踏み固めて作った道も、一夜で雪に埋もれて無くなっていた。
防寒具は完璧で、2人とも体はホカホカ。「おしっこしたいなぁ」「トイレまで行くのが面倒なら、
ポテトチップスの空き筒に入れて後でトイレに捨てなよ」。

7:00 テントを撤収して、ワカンを履いて、河童橋へ。何時間でも動きたくない位の素晴ら
しい景色。梓川もいい雰囲気。電池を温めてはシャッターを切る。
河童橋から焼岳 河童橋から吊り尾根方面
晴天にはえた焼岳はもちろん、西穂高、奥穂高から前穂高の吊尾根、獅子岳などの純白は
素晴らしい(^^)。晴天の冬の上高地は最高に気持いい。



大正池から焼岳 大正池から奥穂高方面
下りは尻セード〜(^^) 除雪された静かな道です〜
ゆっくり景色を楽しみ、帰るのを惜しみながら歩く。大正池からの眺めも素晴らしい。
ナイトンは道々尻セードも楽しみながら、ゆっくリズム。
大量の食料をそりに乗せて引っぱっている人も多い。カメラの機材も多い。
今日から上高地入りする中年のおばさん5人組「天気はどうでした」と聞かれ、
「今日は最高ですよ。景色も最高です」というと喜んでおられた。
「あんな歳になってもテント泊とは元気なおばちゃんやなぁ」とナイトン。
あと一息。暑いなぁ 真っ暗なトンネルともお別れ
凍結した下り道の釜トンネルを抜けて(11:30)、タクシーを呼んだ。
運転手さんも山歩き好きらしい「今年は異常に雪が少ない」とのこと。
沢渡のすぐ北に新しく出来た温泉につかる。大正池のところで3泊していた
3人グループと談笑。ナイトンの好きなそばを食べて、片道430キロの帰路についた。

息子とじっくりいろいろな話しも出来たし、素晴らしい景色も目に焼き付いた
良き思い出になる「2000年ミレニアム極寒テント泊」でした。(^^)

一月前に上高地入りして、情報をくれた囲炉裏のべりさん、KUROさん、
ナランさんほかのみなさんありがとう。良い旅が出来ました。m(..)m