【丹波市】林業の現場と木材利用について学ぶ


日 時   2015年12月12日(土)10:30~14:45
集合場所 丹波市森林組合山南支所(丹波市山南町南中45)
参加者  FIGO(森林インストラクター兵庫会)から9名 

午 前   間伐現場で木材搬出の見学
        山南町小野尻地内(間伐現場)
昼 食   山南支所事務所 資料による学習
午 後   丹波林産振興センター(木材市場)と
       バイオマスたんば(木質チップ加工所)の見学
   
   
FIGO(森林インストラクター兵庫会)の12月研修会に参加させていただいた。
林業をテーマに丹波市森林組合での森林整備(間伐)を学ぶ。

今回の研修担当は篠山市のUさん。森林組合に関係するお仕事をされている。
Uさんとは、今年8月には芦生の植生調査ボランティアでもご一緒した。
 
 
   
   
   
 
間伐現場は、小面積の森林所有者をとりまとめて作業用の道を開設して、
林業機械で伐採と搬出をおこなっておられる。
昨日の雨で林道や作業道はぬかるんでいるところもあり、長靴を履いてきて良かった。

大歳神社の横を歩いて行くと、トラックで木材市場へ運ぶための集積場がある。
細い木は自然に還る資材として作業道を作る際の構造物として使われる。
木口のカラースプレーのマークは森林所有者毎に木材を分けるための目印らしい。

小型の林内車が木材を運んでいた。作業道の構造物用の木材を移動させているという。

フォワーダAK-3(魚谷鉄工株式会社)により、作業道脇に少しづつ置いてある3・4mに玉切り
された木材を、グラップルというアタッチメントで積みこんで林内から土場(木材集積場)に
運ぶ林業機械での作業を見学した。

ハーベスタ100EcoS(keto), PC78US-8(コマツ)により、作業道からアームで届く範囲の立って
いる木を伐倒し、目的の長さに玉切り、枝を払い、整理して作業道脇に集積する、という複合
機械での作業を見学した。作業効率が実に高く驚いた。ただ、立木の伐倒はアームが届く
範囲に限られるので、ほとんどはチェーンソーで伐倒し、ウインチで作業道からワイヤーを
伸ばして集材して、路肩に元木が来るように整理した木を玉切りするという。

本で学んだだけのフォワーダなどの林業機械、ちょっと登山の合間に作業現場を
見たことがあるが、今日はの林業機械を目の前で見て、その力強い働きを
目の当たりに出来たばかりか、細かい質問にも答えていただき勉強になった。

これまでの間伐は木も細く、間引きした木を伐ってその場で腐らせる保育間伐がほとんど
であったらしいが、戦後の拡大造林で植林されたスギ・ヒノキが40年以上になり間伐木も
木材として利用できるようになってきたので、ここ5年くらいでしだいに保育間伐から間伐木を
伐採して販売する利用間伐へシフトしてきたという。これに伴い林業の機械化が進んだらしい。

【利用間伐の作業の流れ】
作業道の開設 → 伐倒(チェーンソー) → 集材・整理(ウインチ・グラップル)
 → 玉切り・枝払い(ハーベスタ) → 林内運搬(フォワーダ) → トラック運搬 → 木材市場

昼食をとりながら丹波市の森林、丹波市森林組合、丹波林産振興センター、バイオマスたんば
について資料による説明を受けた。森林組合と生産森林組合との違いなど、一度聞いただけ
ではなかなか理解しにくい。
また、効率的な路網の整備と間伐作業のために、小規模森林所有者をまとめる施業の集約化
について説明をしていただき、木材価格、木材利用についての話しを伺った。
   
   
   
丹波林産振興センターの木材市場では、主に丹波地区の木材を集めている。
副理事長のN氏より、住宅着工戸数の減少、住宅構造の変化などで木材利用の場が減り
木材価格が下がっていること、製品に対して品質基準が厳しくなり、昔からの利用の仕方が
できなくなっていることや、一方でパルプやチップ燃材料需要が増えていることなどの説明を
受けた。

木材価格の低迷で立派なご神木のような太いヒノキや杉が沢山あるが、そういう木材を
使う建物が減ったのは、日本らしさも減っているという感じでなんか寂しい気がした。
   
   
   
バイオマスたんばのチップ工場では、S工場長から、チップの加工・販売について説明を受けた。
チップは主にスギ・ヒノキ・マツの針葉樹を、10t/時間、1日に60t程度生産しているという。

90%は市内の兵庫パルプ工場に出荷され、残りは市内の薬草薬樹公園の温泉やグリーンベル
青垣の温水プールでボイラーの燃料として使われ、エネルギーの地産地消を行っているらしい。
森林組合が搬出する間伐材も4割はチップとなっているという。

木材価格の低迷で、日本にはまだまだ放置されたままの植林山林が多い。また人家に近い里山
でも放置林が多い。災害を防いだり、森林生態系を守るためにも保全保護の活動は大切である。
我々のような一般市民でもいろいろと協力出来る保全保護の活動は沢山ある。
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